株式市場では急激かつ全体的に株価が大きく下がる「大暴落」が起きる事があります。投資情報サービス企業のMorningstarが、過去150年間に発生した大暴落を振り返り、それが2025年3月に発生した市場の混乱の影響を見定める上でどんな教訓になるのかをまとめました。
Stock Market Crashes: A Look at 150 Years of Bear Markets | Morningstar
https://www.morningstar.com/economy/what-weve-learned-150-years-stock-market-crashes
2020年以降だけでも新型コロナウイルスの流行や、ロシアとウクライナの戦争、インフレ、供給不足などさまざまな理由で株価の暴落が発生しました。こうした暴落について、Morningstarは「株式市場の回復にどれくらいの時間がかかるかを予測することは不可能」でありつつも、「慌てて保有株を売却しなければ長期的には報われる」とし、「こうした教訓は近年の暴落だけでなく、過去150年以上の暴落についても当てはまっている」と述べています。
「大暴落」をどのように定義するかによって変化するものの、1871年から2025年までの154年間で19回の大暴落が発生しているとのこと。下図は1871年に1ドルを投資した場合のインフレ調整後の資産推移で、赤線が累積資産を表しており、青線が累積資産の最高地点を表しています。
上図のグラフからは長期投資の利益が非常に大きいことが読み取れますが、この期間中にはさまざまな暴落が発生しました。
・1929年の大暴落
1929年10月に発生した大暴落では一連の期間中に株価が79%も下がり、過去154年間で最大だったとのこと。
・失われた10年
2000年頃にドットコムバブルがはじけて失われた10年と呼ばれる不況期に入りました。最初の暴落の発生から12年経過した2013年5月にようやく元の株価水準を回復したとのこと。期間全体を通して、株価の最大の下落幅は54%でした。
・インフレ、ベトナム、ウォーターゲート
1973年頃に、ベトナム戦争やウォーターゲート事件、オイルショックなどの要因が重なり、株価が最大51.9%下落しました。
人は暴落を「非常事態」と認識しがちですが、実際には約10年に1回起きる定期的な出来事とのこと。
株式の値動きにはボラティリティ、すなわち価格変動がつきものですが、長期的な視点で見れば上昇する傾向にあります。これまでの大暴落でも、市場は最終的には回復に成功しています。しかし、市場の回復までにどれほどの期間が必要かについてはっきりした事は言えないため、Morningstarは「自分の時間的視野とリスク許容度に応じた、十分に分散されたポートフォリオを保有することが大切だ」と述べ、「長期的に市場に投資を続ける投資家は混乱に見合うだけの利益を得るはずだ」と記事を締めくくっています。
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