Ryujinxは、代表的なNintendo Switchエミュレーターだった「Yuzu」が任天堂の提訴により公開停止になった後も活動を続けていたオープンソースエミュレーターとして知られていましたが、2024年10月に任天堂からの問い合わせを受けたことで同様に公開を停止していました。
DMCA通知を受理したGitHubは、対象となった9件のリポジトリに連絡し、削除を回避するための措置を講じる猶予を与えましたが、最終的にすべてのリポジトリが削除され、同じネットワーク内にあった多数のリポジトリも同様に処理されました。
GitHubは報告の中で、「侵害の疑いのあるコンテンツを含むと報告されたネットワークは100以上のリポジトリで構成されており、報告者はフォークのすべてまたはほとんどが親リポジトリと同程度の著作権を侵害していると主張したため、GitHubは親リポジトリを含む4238のリポジトリのネットワーク全体を対象に、本件の削除通知を処理しました」と説明しています。
これとは別に、任天堂はやはりRyujinxリポジトリを対象とした同様の通知をGitHubに送っているとのこと。2通目の対象となったリポジトリは3件だけでしたが、GitHubは所有者に対応の機会を与えた上で、最終的に113件のリポジトリのネットワークを処分しました。つまり、任天堂が12件のリポジトリを対象に行った2回の申し立てにより、結果的に合計4300件以上のリポジトリが一掃されたことになります。
「開発者ファースト」を掲げるGitHubがこのような厳しい対応を行ったのには、ちょうど1年前の2024年3月にYuzuが任天堂から訴えられて公開停止になったことが影響していると、TorrentFreakは指摘しています。
任天堂に訴えられたNintendo SwitchエミュレーターのYuzuが損害賠償金支払いに同意し、公開も即座に終了 – GIGAZINE

任天堂は、多数のゲームの著作権を保有していますが、これらの作品はDMCAの中で「技術的保護手段(TMP)」と呼ばれている保護措置により、不正アクセスや違法コピーから保護されています。TMPを回避して著作権で保護された作品にアクセスすることはDMCAで禁じられているため、エミュレーターによるTPMの回避もDMCAの回避禁止規定に抵触するおそれがあります。
TorrentFreakは「1年前なら、これほど多くのリポジトリを一挙に削除するのは簡単ではなかったでしょう。法律はまったく変わっていませんが、Yuzuの訴訟と和解の影響は、著作権に対する認識が変わったことで任天堂が大きく有利になったことを示唆しています」と述べました。