コンテンツ管理システム「WordPress」をめぐり、開発元のAutomatticとホスティングサービスのWP Engineが非難の応酬を繰り広げる中、新しくWP Engineの顧客がAutomatticに対する集団訴訟を起こしたことがわかりました。数十万人の顧客が対象となる可能性のあるこの集団訴訟を、複数のメディアが「核戦争」と形容しています。
Automattic’s “nuclear war” over WordPress access sparks potential class action – Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2025/02/automattic-shirked-duty-to-keep-wordpress-free-for-everyone-lawsuit-says/
Automattic Hit With Class Action Over WP Engine Dispute, Accused of Anti-Competitive Tactics – The Repository
https://www.therepository.email/automattic-hit-with-class-action-over-wp-engine-dispute-accused-of-anti-competitive-tactics
今回の問題の発端は、WordPressの開発者の1人であるAutomatticのマット・マレンウェッグCEOが2024年9月に、WP EngineはWordPressから不当に利益を得ていると批判し、WP EngineからWordPressへのアクセスをブロックしたことです。
WordPressがWP Engineからのアクセスをブロックすると発表、「サイトが壊れたユーザーはWP Engineに直してもらって」と述べる – GIGAZINE
さらに、AutomatticはWP Engineに対し、WordPressに関する商標利用の停止とライセンス料の支払いを求めました。
これを受けて、WP Engineは2024年10月に、Automatticらの対応により業務が妨害されたとして同社およびマレンウェッグ氏を訴えました。法廷でWP Engineは、Automatticから要求された料金は商標の価値ではなくWP Engineの財務状況を元に算出されており、強迫的な金銭の要求であると非難しています。
WP EngineがWordPress開発元のAutomatticとマット・マレンウェッグCEOを提訴、WordPress商標を巡る争いはついに法廷へ – GIGAZINE
こうした中、オハイオ州に拠点を構える小規模なサイバーセキュリティ企業・SecureSightの経営者であるライアン・ケラー氏が、WP Engineの顧客を代表した集団訴訟を提起しました。
2025年2月21日付で北カリフォルニア地区連邦地方裁判所に提出された(PDFファイル)文書の中で、ケラー氏は「AutomatticはWordPress.orgの重要なサービスへのアクセスをブロックしてWP Engineのビジネスを故意に妨害し、これにより混乱、セキュリティリスク、経済的損害を引き起こしました」と指摘しています。
ケラー氏の訴えによると、WordPress関連のソフトウェアは「ずっと前から、誰でも永久に無料で利用できると約束されてきた」とのこと。この確かな保証によりWordPressの人気は高まり、世界中のウェブサイトの40%以上を占めるようになりました。
それに伴い、WordPressを活用したホスティングサービスを提供するWP Engineのビジネスも急拡大し、YelpやDropbox、トムソン・ロイターといった大口顧客を次々と獲得していきました。これに不満を募らせたマレンウェッグ氏が、WP Engineを名指しで批判したというのが、ケラー氏が主張しているAutomatticとWP Engineの確執の始まりです。
WP Engineのプランに年間3300ドル(約50万円)を支払っているというケラー氏は、代替ホスティングプロバイダーの検討に時間と費用を費やさなければならなかったとのこと。裁判文書の中でケラー氏は、中小企業を中心とした多くの顧客が同様の混乱や移行コストに見舞われたとしています。
もし、この集団訴訟でケラー氏側が勝利した場合、クラスアクションには「2024年9月24日~12月10日までにWPE WordPress Webホスティングプランを継続利用していたアメリカ国内のすべての人」が含まれる予定で、対象者は数十万人に上ると見積もられています。
ケラー氏は「マレンウェッグ氏は、AutomatticとWordPress.comのオーナーとして、オープンソースのWordPressの成長から多大な利益を得ました。そのマレンウェッグ氏と同氏が管理する団体への個人的な支払いが済むまで、このオープンソースソフトウェアへのアクセスを差し止めることは、オープンソースの原則に対する裏切りです」と訴えました。
一方、Automatticの広報担当者は「ライアン・ケラー氏が当社とマレンウェッグ氏に対して起こした訴訟には根拠がなく、WP Engineの訴訟と同じ事実無根の主張を蒸し返しているに過ぎません。Automatticとマレンウェッグ氏はオープンソースの原則とWordPressコミュニティを守ることに全力で取り組んでいます。私たちは、WP Engineとの訴訟の中心的な部分と、根拠のない主張に基づく集団認定の試みの両方に対し、法廷で勝利できると確信しています」とコメントしました。
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