先進国を中心に少子高齢化が進む昨今では、加齢に伴う認知症患者の増加が大きな課題となっています。新たな研究では、定期的に家族や親戚と会ったり旅行に行ったりしている高齢者は、活動の少ない高齢者と比較して認知症になるのが最大5年遅いことがわかりました。
Late‐life social activity and subsequent risk of dementia and mild cognitive impairment – Chen – 2025 – Alzheimer’s & Dementia – Wiley Online Library
https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/alz.14316
Being Social May Delay Dementia Onset by Five Years | RUSH
https://www.rush.edu/news/being-social-may-delay-dementia-onset-five-years
Your Social Life Could Help You Stave Off Dementia For Years, Study Finds : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/your-social-life-could-help-you-stave-off-dementia-for-years-study-finds
アメリカ・ラッシュ大学の研究チームは、社会的活動と認知症との関連性を調べるため、高齢者を平均7年間にわたり追跡した縦断研究の「Rush Memory and Aging Project」のデータを分析しました。研究に参加した高齢者は1923人で、研究のスタート時点ではいずれも認知症を発症しておらず、平均年齢は80歳でした。
研究では被験者に対し、前年にさまざまな社会的活動にどの程度従事したのかを、「年に1回以下」「年に数回」「月に数回」「週に数回」「毎日またはほぼ毎日」の5段階で評価してもらいました。社会的活動には、「レストランやスポーツイベント、競馬場などへ行く」「日帰りや宿泊の旅行」「無給のコミュニティ活動またはボランティア」「親戚や友人の家への訪問」「グループ活動への参加」「教会への訪問や宗教の礼拝への参加」の6つのタイプが含まれていました。
また、被験者が認知症と診断されたかどうかを調査したほか、毎年記憶や知覚速度、視空間能力に関するテストを行って、認知機能の変化を経時的に測定しました。調査の開始時点ではいずれも認知症を発症していなかったものの、調査期間の終了までに545人が認知症を発症し、695人が軽度認知機能障害の兆候を示したとのこと。
データを分析した結果、「最も社会的活動への参加が多かった上位3分の1」の人々は、「最も社会的活動への参加が少なかった下位3分の1」の人々と比較して、調査期間中に認知症を発症する可能性が38%も低く、軽度認知障害を発症する可能性も21%低いことがわかりました。この結果は、認知機能の低下を説明する年齢や運動量、健康状態といった要因を考慮してもなお見られました。
以下のグラフは、縦軸が認知症を発症していない被験者の割合を、横軸が被験者の年齢を表しています。社会的活動への参加が多かったグループが青い点線で、社会的活動への参加が中程度だったグループが赤い点線で、社会的活動への参加が少なかったグループが黒線で示されており、全体的に社会的活動が多い高齢者ほど認知症の発症率が低いことがわかります。研究チームによると、社会的活動への参加が多いグループと低いグループでは、認知症の平均発症年齢に約5年の差があったとのことです。
今回の研究結果はあくまで関連性について調べたものであり、直接的な因果関係を示したものではありません。それでも論文の共著者で、ラッシュ大学の疫学者であるブライアン・ジェームズ氏は、「社会活動では、高齢者が複雑な対人交流への参加に挑戦します。これは効率的な神経ネットワークを促進または維持する可能性があります」と述べました。
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