AI開発企業のLiquid AIが2026年10月15日に新たな意思決定モデル「d1-ultra」を発表しました。従来モデルの「d1」を改良したもので、競合する「Jev 1.14」を性能テストで大きく上回ったほか、判断の正確さや信頼性も向上したとのことです。
d1-ultra: Introducing the World’s Best Decision Model | Blog | Liquid AI
https://www.liquid.ai/blog/d1-ultra
Today we release 𝚍𝟷-𝚞𝚕𝚝𝚛𝚊, our most powerful decision model.
> built for hard decision problems.
> d1-ultra is multimodal
> supports 44 languages
> #1 on the @ArtificialAnlys Decision Index (65)
> leads all eight categories of our 112-evaluation suite— Liquid AI (@liquidai) 2026年10月15日
意思決定モデルは与えられた情報をもとに質問への回答や選択肢の評価を行うAIモデルです。一般的な大規模言語モデル(LLM)が文章を生成して回答するのに対し、意思決定モデルは各選択肢が正しい確率を直接出力します。文章を生成する処理が必要ないため、高速かつ低コストで判断を下せることが特徴です。2026年9月に意思決定モデル「Jev」が登場して注目を集めました。
ChatGPT共同開発者がLLMとは異なる方法で処理するAIモデル「Jev」を開発、GPT-5.6 Terra級の性能でタスクを安価かつ超高速に実行可能 – GIGAZINE
Liquid AIもJevに対抗するモデルとしてd1を公開し、10月には画像入力への対応を発表しています。
ベンチマークでJev超えな意思決定モデル「d1」が登場 – GIGAZINE
意思決定モデルは単純な分類や判断を得意としていますが、実際の業務では複雑な情報を読み取る必要があります。Liquid AIは複雑な状況でも正確な判断を下せるようにするため、従来のd1よりも大規模なオープンウェイトモデルをベースに独自の改良を加えてd1-ultraを開発しました。特に知識を必要とする課題で大きな性能向上が見られたとのこと。
d1-ultraはテキストと画像の両方を入力でき、質問に対する各回答の確率を直接出力します。従来のd1と同様に、質問の形式は「はい・いいえ」「複数の選択肢」「数値による評価」の3種類となっています。
例えば回路基板の画像を読み込ませて「欠陥は何ですか?」と質問すると、「部品の欠落」「余分な部品」「傷」という選択肢について、それぞれの確率を返します。以下の例では部品の欠落が0.80、余分な部品が0.11、傷が0.10となっています。
Liquid AIはd1-ultraの性能を検証するため、従来のd1やJev 1.14などの意思決定モデルを対象に112種類の評価を実施しました。
以下のグラフは各モデルの性能を比較したものです。d1-ultraの平均スコアは76.7で、Jev 1.14の69.4を7.3ポイント上回りました。特に回答の良しあしを見極める能力では53.3から65.5、知識と推論では47.8から56.0へと向上しています。また、他の競合モデルと比較しても全8分野で最高スコアを記録しました。
さらに、第三者のAI評価機関であるArtificial Analysisが公開する意思決定モデルの性能指標「Artificial Analysis Decision Index」でもd1-ultraは65ポイントを記録し、57ポイントのJev 1.14を8ポイント上回っています。
Liquid AIは回答の正確さに加えて、判断結果として出力する確率の信頼性も重視しています。例えばAIが「90%の確率で正しい」と判断した回答は、実際にも約90%の割合で正解することが理想です。しかし、従来の意思決定モデルには実際の正答率よりも高い確率を出力する傾向があったとのこと。
以下のグラフはAIが出力した確率と実際の正答率のずれを比較したものです。ずれが小さいほど確率の信頼性が高いことを意味しており、d1-ultraの誤差は1.5ポイントとJev 1.14の2.7ポイントを下回りました。
d1-ultraはLiquid AIのAPIを通じて利用可能です。料金は入力100万トークン当たり0.042ドル(約6円)で、出力トークンに対する料金は発生しません。画像も入力トークンとして計算され、1024×1024ピクセルの画像1枚は1536トークンとして扱われます。また、複数の質問を入力した場合は質問ごとに画像を含む入力全体が課金対象となります。
また、以下のリンク先にある「d1 Playground」ではd1-ultraを使ったデモを試すことができます。
d1 Playground
https://d1.liquid.ai/
Liquid AIは今後、VercelやOpenRouterを通じてもd1-ultraを提供する予定とのこと。さらに、さまざまな規模の意思決定モデルについて新機能の追加や判断精度の向上、応答時間の短縮を進め、定期的に新たな成果を公開していくと述べています。
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