中国のAI企業であるDeepSeekがHuaweiと協力し、Huawei製AIチップ「Ascend」向けのプログラミング基盤を公開しました。公開されたソフトウェアには高性能な演算プログラムを開発しやすくする「TileLang」や行列計算ライブラリ「DeepGEMM Ascend」などが含まれており、いずれもオープンソースで公開されています。DeepSeekはCUDAより簡潔に記述できるプログラミング環境を提供しながら、ハードウェア性能を引き出すことを目指していると説明しています。
DeepSeek 开源昇腾基础组件
https://mp.weixin.qq.com/s/X41mKH4Ds-VXUAnK6M8Eww
DeepSeek partners with Huawei to develop chip programming tools, reducing reliance on Nvidia | Reuters
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/deepseek-partners-with-huawei-develop-chip-programming-tools-reducing-reliance-2026-09-30/
China’s AI industry closes ranks as Deepseek ships open-source software for Huawei’s Ascend chips
https://the-decoder.com/chinas-ai-industry-closes-ranks-as-deepseek-ships-open-source-software-for-huaweis-ascend-chips/
China’s DeepSeek open-sources tools to help Huawei chips supplant Nvidia in AI | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/tech-trends/article/3369301/chinas-deepseek-open-sources-tools-help-huawei-chips-supplant-nvidia-ai
AIモデルの学習や推論ではGPUやNPUといったアクセラレーターの性能だけでなく、ハードウェアを効率よく動かすソフトウェア環境も重要です。NVIDIAはGPUに加えて並列計算プラットフォーム「CUDA」と多数のライブラリを長年提供しており、AI開発者がNVIDIA製GPUを使いやすい環境を整えてきました。
一方でHuaweiは独自のAIアクセラレーター「Ascend」シリーズを開発しています。2026年6月にHuaweiのAscend 910Cを使ってDeepSeek-V4-Proの事後学習に成功したことが明らかになっているほか、DeepSeekがHuawei製AIチップを大量導入する計画もあり、Ascendの性能を引き出すためのソフトウェアを充実させる必要性が高まっています。
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DeepSeekによるとHuaweiは今回のプログラミング基盤開発を全面的に支援したとのこと。両社はAscend 950を128基搭載する「スーパーノード」向けの最適化にも取り組み、演算処理とチップ間通信の両方を調整しています。
開発環境で特に重要な役割を担うのが、オープンソースのドメイン固有言語「Tile Language(TileLang)」です。ドメイン固有言語とは特定の用途に合わせて設計されたプログラミング言語のことで、TileLangはGPUやNPUで実行する高性能な「カーネル」と呼ばれる小さな演算プログラムを比較的簡潔なコードで記述できるように設計されています。
GitHub – tile-ai/tilelang: Domain-specific language designed to streamline the development of high-performance GPU/CPU/Accelerators kernels · GitHub
https://github.com/tile-ai/tilelang
TileLangはNVIDIA CUDAやAMD ROCm、Apple Metalなど複数の実行環境に対応する高水準の開発環境で、2026年9月30日からHuawei Ascend 950も正式なバックエンドとしてサポートするようになりました。Ascend 950向けにはネイティブコード生成や自動スケジューリング、同期処理などに対応しています。DeepSeekはTileLangについて、CUDAよりシンプルなプログラミングモデルを提供しながらハードウェア性能を引き出すことを狙ったものだと説明しています。
さらにDeepSeekはTileLangだけでなく、AIモデルを実際に高速化するためのライブラリもAscend向けに公開しました。
「DeepGEMM Ascend」はAIで頻繁に使われる行列乗算を高速に実行するためのライブラリです。既存のDeepGEMMと同じAPIや開発手順を利用できるよう設計されており、BF16やFP8、FP4などの計算をサポート。Ascend特有のメモリ配置やアドレス計算といった低水準の処理を隠し、開発者が比較的簡潔なコードで高速な演算を実装できるようになっています。
「DeepEP Ascend」は大規模言語モデルの学習や推論で使う高性能通信ライブラリで、複数の専門モデルを使い分けるMixture of Experts(MoE)などで必要になる複数のNPU間のデータ通信を高速化します。公開APIはNVIDIA向けDeepEPとそろえられているとのことです。
「TileKernels」はTileLangを使って実装した数十種類の高速カーネルをまとめたライブラリ。MoEのルーティングや量子化など大規模言語モデルで頻繁に使われる処理が用意されており、2026年9月30日の更新でHuawei Ascendへの対応が追加されました。NVIDIA GPUとHuawei NPUのどちらを使っているかは実行時に自動判定され、同じPython APIを利用できます。
AIが長い文章を扱う際に重要となるアテンション処理を高速化する「FlashMLA」もHuawei Ascend NPUに対応しました。DeepSeek-V4.1の推論で利用されるライブラリで、GitHubでは一部の処理についてAscend 950で理論性能の95%に達したと報告されています。
大量の候補から値の大きい上位K個を選び出すTopK処理を高速化する「DeepSelect」にもAscend向けカーネルが追加されました。DeepSelectはDeepSeek Sparse Attentionなどで利用される処理を高速化するライブラリで、DeepSeekは通常の「torch.topk」と比べて条件によって2倍~20倍の高速化が可能としています。
DeepSeekは「汎用的でプログラミングしやすく、ハードウェア性能も引き出せる高水準言語」がAIアクセラレーター向けのソフトウェア環境には必要だと説明しており、TileLangを含むオープンソースツール群を通じてHuawei Ascend向けの開発環境を広げていく方針を示しています。
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