スマートグラスはデジタルディスプレイ・小型カメラ・スピーカー・AI機能などを搭載したメガネタイプのウェアラブルデバイスで、両手を使わずにAIアシスタントを利用したり、さまざまな情報を確認したり、周囲の映像を撮影したりすることが可能です。そんなスマートグラスを使ったセクシャルハラスメントについて、フランス・パリの検察当局が捜査を始めていると報じられました。
France probes misuse of smart glasses in sexual harassment cases | Reuters
https://www.reuters.com/technology/french-prosecutors-regulators-step-up-scrutiny-smart-glasses-2026-09-18/
スマートグラス市場において最も高いシェアを誇るのは、Metaがメガネメーカーのエシロールルックスオティカと共同開発したAI搭載スマートグラス「Meta Glasses」です。Meta Glassesは2025年に700万台を売り上げるヒット商品ですが、小型カメラが搭載されたスマートグラスの普及に対し、違法な監視やプライバシー上の懸念も提起されています。
Meta独自のスマートグラス「Meta Glasses」フォトレビュー、本体のデザインからケース・付属品までチェック – GIGAZINE
そんな中、パリの検察当局は海外メディアのロイターに対し、「女性を同意なくスマートグラスで街頭撮影し、その動画をオンラインに投稿する」というソーシャルメディアの流行に関連したセクシャルハラスメント被害の訴えを受け、少なくとも1件の捜査を開始したことを明らかにしました。
検察当局は事件の詳細について公表していませんが、スマートグラスが悪用される可能性がある犯罪について深く知るため、サイバー犯罪対策部門がスマートグラスのテストを実施しているとのこと。なお、検察当局はこの事件に使われたスマートグラスのブランドは公開していません。
Metaの広報担当者はロイターに対し、「私たちはAIグラスにプライバシー保護機能を最初から組み込んでいます。AIグラスの性能向上に伴い、保護機能も強化していきます」と述べました。スマートグラスを共同開発したエシロールルックスオティカはコメントを控えました。
また、フランスのデータ保護機関であるCNILも、職場でのスマートグラスの使用に関する苦情が数件寄せられていることを明らかにしました。さらに、職場でのスマートグラスの使用を禁止できるかどうかを知りたい企業からの問い合わせも増えているとのことです。
CNILの経済担当責任者であるナセラ・ベカト氏は、スマートグラスは周囲の人々に撮影していることを伝え、必要に応じて同意を得るという点で課題を抱えていると指摘。スマートグラスはフレームにある小さなライトを点灯させることで撮影状態であることを通知しますが、周囲の人々がすれ違うすべての人のメガネのフレームをチェックし、撮影中かどうかを判断するのは容易ではありません。
インターネット安全団体・e-Enfanceの法律専門家であるイネス・レジェンドル氏は、「ライトが点灯したからといって、撮影されることに同意したことにも、その後で自分の画像が数千人もの人々に配信されることに同意したことにもなりません」と述べました。
人権団体は、スマートグラスによる悪用の被害者は主に女性だとしています。フェミニスト団体・Hubertine Auclertのイネス・ジラール氏は、「監視技術について、監視されている人々に『もっと警戒しなさい』と言うだけでは対応できません。これは特に女性や性的マイノリティ、すでに暴力やオンラインの嫌がらせ、公共の場での監視にさらされている人にとって、さらなる負担となります」と指摘しました。
なお、フランスのプライバシー保護規制では、本人の同意なしに私的な場所で画像を撮影した場合、最長1年の禁錮刑または4万5000ユーロ(約810万円)の罰金が科される可能性があるとのことです。
また、アメリカではMetaのスマートグラスを購入または使用した、あるいはスマートグラスに撮影された70人以上がMetaを提訴しています。
Meta glasses captured and shared intimate images without users’ consent, lawsuit claims – Los Angeles Times
https://www.latimes.com/business/story/2026-09-18/meta-glasses-captured-shared-intimate-images-without-users-consent-lawsuit-claims
カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所に提出された訴状では、原告らは自分や家族が服を脱いでいたり、トイレに行ったり、性行為を行ったりした際の映像や画像が、動画や写真のレビューとラベル付けを行う海外の労働者に漏えいしたと主張しています。あるスマートグラスのユーザーは、家族がトイレを使ったり入浴したりしている写真がギャラリーに表示されたことで、スマートグラスが予期せぬタイミングで撮影を行っていると気付いたそうです。
撮影機能付きのスマートグラスへの懸念は世界的に強まっており、イギリスの映画館では著作権侵害の懸念から、スマートグラスの着用を施設内で禁止または制限する方針を導入しています。
イギリスの映画館が著作権侵害の懸念からスマートグラスの着用禁止を検討 – GIGAZINE
また、オーストラリアでは公共の場におけるスマートグラス規制について検討されています。
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