無性生殖を行うよう進化したナナフシを調べた研究で、このナナフシに有性生殖で使われる仕組みが残っていることが分かりました。最大150万年間使われなかった仕組みがなぜ残っているのか、疑問が生まれています。
Dosage compensation and meiotic sex chromosome inactivation are maintained under relaxed selection | PNAS
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2531501123
One million years without sex fails to erase stick insects’ unused biological system
https://phys.org/news/2026-08-million-years-sex-erase-insects.html
生物にはオスとメスの発現を均等にするための仕組み(遺伝子量補償)が備わっていますが、無性生殖を行う生物はこうした仕組みを必要としません。スイスにあるローザンヌ大学のダレン・パーカー氏らは、この仕組みが不要になった場合にどうなるのかという疑問を持ち、最大150万年にわたって無性生殖を行ってきたナナフシ「Timema属」を調査しました。
Timema属はアメリカ西部の西側地域に生息しているナナフシで、21種のうち5種は単為生殖を行い、そのうち2種は最大150万年有性生殖を行っていないことで知られています。この期間は昆虫の中で最も長い無性生殖の期間だそうです。
パーカー氏らは、かつて性染色体上の遺伝子発現のバランスを取るために進化した仕組みが、このような種では時間とともに失われていると予想していました。しかし、実際にはそうではありませんでした。
パーカー氏らが単為生殖するメスからわずかな確率で生まれるオスの遺伝子情報等を調べたところ、調査した7つすべての体細胞組織で遺伝子量補償の仕組みが完全に保存されていることが分かりました。さらに、X染色体を不活性化させる別の仕組みも保存されており、150万年間有性生殖を行っていない種でも有性生殖に必要な機能は失われていないと結論づけられました。
さらに、X染色体を不活性化させる仕組みは単為生殖するオスで強くなっていることも示されています。
パーカー氏は、「メスはオスによる受精なしで繁殖するため、遺伝子発現を均等にする必要はありません。ところが、長期間有性生殖を行っていない種でも、遺伝子量補償の仕組みは徐々に失われるのではなく、完全に機能する状態を維持していることが分かりました。進化は必ずしも、必要としなくなったものを捨て去るわけではないということです」と述べました。
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