2026年は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸の海面水温が高くなるエルニーニョ現象が発生しており、秋~冬にかけて歴史的な強さになると予測されています。そんな中、ドイツの公共放送であるDWのニュース番組でインタビューを受けた英国王立気象学会のリズ・ベントレー会長が、歴史的エルニーニョ現象によって起きると懸念される問題について解説しました。
A historic El Nino is forming. Here’s why scientists are worried | DW News – YouTube

気候科学者らは歴史的な規模になるとみられる2026年のエルニーニョ現象により、甚大な干ばつや洪水といった自然災害のリスクがあると警鐘を鳴らしています。
そもそもエルニーニョ現象とは、太平洋の東から西へ吹く貿易風が一時的に弱まり、通常であれば西太平洋に押し流される温かい海水が東へ広がることで起きるものです。
科学者らは通常、太平洋の主要海域における平均水温が平年より0.5℃高くなった場合にエルニーニョ現象を宣言しますが、2026年は7月の時点で平年より2℃近く上昇しています。最新の予測によると、2026年後半には水温上昇が3℃を超える可能性があり、中には4℃に達するとの見方もあります。その場合、2026年のエルニーニョ現象は今世紀最大の規模となります。
太平洋における海水温の上昇は、世界各地の気候に影響を及ぼします。エルニーニョ現象が起きた場合、以下の地図でオレンジ色の地域では降水量が減少し、水色の地域では降水量が増加するとのこと。
エルニーニョ現象による気候への影響により、深刻な干ばつ・山火事・洪水などが引き起こされます。その結果、農作物が不作となって食糧価格が上昇したり、数百万人もの人々が飢餓に苦しんだりする可能性があります。
オンラインインタビューを受けたベントレー氏は、2026年の強力なエルニーニョ現象は「スーパーエルニーニョ」とも呼ばれていると指摘。仮に海水温が平年より3~4℃高くなった場合、1877年以降で前例がない規模のエルニーニョ現象だと説明しています。
2026年のエルニーニョ現象は南米の太平洋岸地域での洪水、太平洋の西側全域での干ばつ、そしてオーストラリアでの山火事などを引き起こす可能性があるとベントレー氏は予測しています。
また、世界中での気温上昇も引き起こされることから、2027年が「観測史上最も暑い年」になることはほぼ確実だそうです。すでに地球温暖化によって産業革命以前より地球の平均気温は1.5℃高くなっており、エルニーニョ現象は地球温暖化による影響を増幅させるとのこと。「6~12カ月の間にエルニーニョ現象がもたらす影響は、非常に大きなものになるでしょう」とベントレー氏は述べています。
すでにインドでは降水量が少なくなっており、米などの作物に影響が出ているとのこと。また、パナマ運河ではエルニーニョ現象に伴う水位低下が予想されており、9月初めから1日あたりの通航数に制限を設ける方針となっています。
エルニーニョ現象が主に影響を与えるのは太平洋地域ですが、地球全体の気温上昇傾向にも影響を与えるため、ヨーロッパでも2026年の冬の始まりは例年よりも降水量や嵐が多くなる見込みだとのこと。また、強力なエルニーニョ現象が発生するとヨーロッパでは冬の終わり頃に気温が下がるため、2027年2~3月には非常に寒く、雪が多くなる可能性があるそうです。また2027年の夏は再び強力な熱波に襲われますが、その深刻さは2026年を上回るものになるとベントレー氏は予測しました。
ベントレー氏は今回の強力なエルニーニョ現象から得られる教訓として、「化石燃料の消費を削減して地球温暖化を可能な限り抑制するべきであること」「熱波に対する回復力を強化すること」を挙げました。
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