あまりの幸福感で心臓に異常が生じる「ハッピーハート症候群」とは? – GIGAZINE


「幸せすぎて死んじゃいそう」という言葉はあくまで比喩として使われますが、まれに幸福感のあまり心臓に異常が生じることがあります。そんな「happy heart syndrome(ハッピーハート症候群)」と呼ばれる病気を発症した65歳の女性の症例が、医学誌のOxford Medical Case Reportsに報告されました。

unexpected sequel to happiness: happy heart syndrome | Oxford Medical Case Reports | Oxford Academic
https://academic.oup.com/omcr/article/2026/7/omag108/8728303

Too Much Happiness Sent A Woman To The Emergency Room In an Incredibly Rare Case : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/rare-case-report-reveals-how-extreme-happiness-triggered-a-life-threatening-heart-event

症例報告によると、患者となった65歳の女性は娘の結婚式に出席して大きな幸福感を味わった後、3日間にわたり胸の痛みや息切れといった症状に悩まされたとのこと。医療機関を受診した女性に対し、医師らは心電図の計測や血液検査を行いました。

女性の検査結果からは心臓への血流が減少していることが確認されましたが、一般的にこうした血流減少をもたらす血栓は見つかりませんでした。その代わりに、血液を全身に送り出す役割を持っている心臓の左心室が奇妙に膨張しており、これによって血液を送り出す能力が損なわれていることが判明しました。

意外なことに、こうした心臓の異常は「圧倒的な喜び」によって引き起こされる場合があるとのこと。科学系メディアのScienceAlertは、「過剰な幸福感や高揚感が一度に押し寄せると、心臓に過度の負担がかかり、心臓の形状そのものが変化してしまう可能性があります」と説明しています。


左心室の膨張を伴う一時的な収縮不全はたこつぼ心筋症と呼ばれ、急性心筋梗塞や心臓発作に類似した症状を示します。場合によっては命を脅かすこともありますが、一般的に予後は良好であり、自然に治癒することも多いといわれています。

そんなたこつぼ心筋症は主にストレスによって発症するとされており、失恋などの精神的ストレスによるたこつぼ心筋症は「broken heart syndrome(ブロークンハート症候群)」と呼ばれます。しかし、中には結婚式のような良い出来事がもたらす大きな喜びや幸福感が引き金となるケースもあり、その場合は「ハッピーハート症候群」と呼ばれるそうです。

研究によると、心臓発作が疑われるものの左心室に血栓の兆候が見られない患者のうち、約1~3%はたこつぼ心筋症を患っている可能性があるとのこと。さらにたこつぼ心筋症患者のうちわずか4%ほどが、ポジティブな出来事や感情が引き金になっていると推定されています。

たこつぼ心筋症の完全なメカニズムはまだ解明されていませんが、ブロークンハート症候群とハッピーハート症候群では心臓への影響が若干異なるとのこと。いずれも交感神経系の活性化とカテコールアミンという物質の急増を伴いますが、神経ホルモンの反応は感情の性質によって異なる可能性があるそうです。

また、ハッピーハート症候群は一般に心室中部または基底部の膨張を伴いますが、ブロークンハート症候群では先端部が膨張する場合が多いとされています。研究チームは、「ハッピーハート症候群は症状がより軽度で、短期的な予後も良好である場合がありますが、さらなるデータが必要とされています」と述べました。


なお、今回報告された女性の心臓機能は完全に回復し、その後は健康な生活を送っているとのこと。著者らは論文で、「女性は今後数年間で、他の子どもたちの最も幸せな人生の節目を見届けることを楽しみにしています」と記しました。


ソース元はコチラ

この記事は役に立ちましたか?

もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。

関連記事