
最先端のAIモデルを一カ所でまとめて試せるプラットフォームのTryAIが、Anthropicが2026年6月10日にリリースしたClaude Fable 5、OpenAIが2026年6月29日に発表したGPT-5.6 Sol、SpaceXAIが2026年7月9日にリリースしたGrok 4.5、Googleが2026年7月22日に発表したばかりのGemini 3.6 Flashという4つのAIに、さまざまな画像を描画させることで各AIのコストパフォーマンスや画像生成性能を比較しています。
“Drawing” the Mona Lisa with GPT-5.6, Claude, Gemini, and Grok · TryAI
https://www.tryai.dev/blog/ai-drawing-arena-colored-pencils-claude-gpt-grok
テスト対象のモデルはいわゆる画像生成AIとしての能力は備えていません。今回のテストでは「ペイントアプリを操作させる」という方法でAIモデルに絵を描かせました。AIモデルはペンの色・太さ・筆圧を自由に設定し、線を重ねて塗ったり、ぼかして色を混ぜたり、消しゴムで消したりします。テスト内容は「参考画像を再現する」というものと「テキストでの指示に従ってゼロから描くもの」の2種類が実施されました。
各AIはレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた油彩画の「モナ・リザ」と、ゴッホの代表作のひとつである「星月夜」および、5つの自由記述プロンプトを実行し、合計28枚の画像を描画しました。
以下の画像は左から参考画像・GPT-5.6 Sol・Claude Fable 5・Grok 4.5・Gemini 3.6 Flashが生成したものです。モナ・リザを描画した画像が以下。
星月夜を描画した画像が以下。絵画の模倣では明らかにGrok 4.5の精度が低く、GPT-5.6 Solの精度が高いことがわかります。
「風雨にさらされた年老いた漁師の顔、暖かい午後の日差し、深いしわと無精髭」というプロンプトで描画した画像が以下。
「穏やかな海に沈む美しい夕日、オレンジから紫へと変化する空、シルエットになった地平線」というプロンプトで描画した画像が以下。
「暗い背景にガラスの花瓶に生けられた一輪の赤いバラ、レンブラント風のドラマチックな照明」というプロンプトで描画した画像が以下。
「午後の日差しの中、窓辺で丸まって眠るトラ柄の猫」というプロンプトで描画した画像が以下。
「暖炉に火が灯り、温かみのある琥珀色の光と柔らかな影が漂う、居心地の良いキャビンのインテリア」というプロンプトで描画した画像が以下。
各AIには上記の指示で7種類の画像を描画させています。その平均値と合計値をまとめた表が以下。平均ステップ数は画像を完成させるまでに何ステップの工程を要したかを示し、平均自己評価はAIが画像を描画している際に画像全体を自己評価した回数、総ドローコール数は各AIが画像を描画するのに引いた線の総数です。コスト面だけを比較すると、明確に高価なのはClaude Fable 5で、画像生成にかかる時間もClaude Fable 5が2倍以上長くなっています。同じく画像生成に大量のトークンを利用しているGrok 4.5がClaude Fable 5と比較して画像生成コストが圧倒的に安価になる理由は、トークンの約98%がごく一部でのキャッシュ読み取りであるためだそうです。
| AI | 描画画像数 | 平均ステップ数 | 平均時間 | 合計トークン数 | トークン推定コスト | 平均自己評価 | 総ドローコール数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| GPT-5.6 Sol | 7 | 29 | 6.2分 | 340万 | 7.74ドル(約1260円) | 6.0 | 116 |
| Claude Fable 5 | 7 | 54 | 12.5分 | 1460万 | 160.58ドル(約2万6200円) | 15.6 | 207 |
| Grok 4.5 | 7 | 99 | 4.8分 | 3400万 | 9.21ドル(約1500円) | 4.3 | 354 |
| Gemini 3.6 Flash | 7 | 73 | 6.9分 | 2770万 | 12.87ドル(約2100円) | 22.6 | 190 |
TryAIは「GPT-5.6 Solはテスト結果で圧倒的なリードを奪いました。中でも『星月夜』と『バラ』は特にお気に入りで、真っ白なキャンバスに一筆ずつ丁寧に描いたことを考えると驚くべき結果となっています。また、老漁師の絵を除けば、ほぼ全ての絵で他のAIを凌駕するほどのディテールを誇っていました」と記し、GPT-5.6 Solを高評価しました。
Grok 4.5に対しては「基本的に使い物になりませんでした。まともに使えるものはほとんど生成されず、ツールを駆使して必死に操作するにもかかわらず、視覚的な出力内容を確実に理解したり判断したりする能力にはまだ期待できません」と厳しい評価を下しています。
Gemini 3.6 Flashはわずかなコスト増加でGrok 4.5よりも明らかに優れたAIが利用できるとTryAIは評価しました。「Googleの高速低コストモデルであるGemini 3.6 Flashを最先端のハイエンドモデルと比較するのは少し不公平に思えるため、Gemini 4の性能を見るのが本当に楽しみです」と言及。
Claude Fable 5については「品質面では2位ですが、コストと時間面では最下位です。このタスクにおいては、3つの中で最も魅力に欠けるトレードオフでした。GPT-5.6 Solに匹敵する出力が得られないにもかかわらず、処理速度ははるかに遅く、コストもはるかに高かったためです」と記しています。
なお、TryAIは「このテストはAIの能力を客観的に評価するというものではありません。意図的にあいまいで明確な答えのない課題にしています」と言及。TryAIがこのテストを実施している理由は、「面白く、かつ有益」であり、「最先端技術とオープン技術の間の真のギャップを浮き彫りにすることが可能」で、「長時間タスクの実際のコストを示している」ためだと説明しました。
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