AI「Claude」を開発するAnthropicは、「OpenAIが安全性に十分な重点を置いていない」との懸念から同社を離れた人物により設立された企業であり、その採用プロセスにおいてAIの安全性をひときわ重視しているとされています。採用プロセスの実態をBloombergがまとめました。
Anthropic Job Recruiting Brings In Diverse Careers to Build Claude – Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/features/2026-05-28/anthropic-job-recruiting-brings-in-diverse-careers-to-build-claude
BloombergがAnthropicの選考経験者や人事部の元社員から話を聞いたところによると、Anthropicには最大5段階に及ぶ厳格な面接とスキル評価が待っているとのこと。これらの課題は明示的に許可されている場合を除き、基本的にAIの利用は禁止されているそうです。
面接のうち1つが「カルチャー面接」と呼ばれるものです。選考経験者によると、カルチャー面接は候補者の価値観や世界観、さらにAIがもたらす脅威をどれほど真剣に捉えているかを尋ねるもので、研究科学者であれ、会計士であれ、給与計算担当者であれ、事実上すべての採用候補者がこの関門を通過しなければならないとのこと。面接対策企業Exponentで働くキャリアコーチによれば、多くの人にとって仕事の面接というよりセラピーに近い感覚で行われるといいます。
Anthropicの元リクルーターは、カルチャー面接について「面接の担当者はどの部署からでも選ばれる可能性があり、その担当者が候補者に低い評価を与えた場合、候補者は不採用になることが多い。その理由は、Anthropicの経営陣が自社の使命を人類の存続に関わるレベルの問題として捉えているからだ。私は候補者に対して『この面接は奇妙に感じるかもしれないが真剣に受けるように』と勧めていた」と述べました。
元リクルーターによると、最初は気軽な雰囲気で幅広い質問から始まり、その後職業上の倫理的ジレンマといった深い質問に変わっていくとのこと。Anthropicの共同設立者で、ダリオ・アモデイCEOの妹であるダニエラ・アモデイ氏は「Anthropicは異なる意見を持つ人々と敬意を持って議論できる従業員を求めており、その能力をカルチャー面接で評価している」と語りました。
ダニエラ・アモデイ氏は「私たちは、『あなたが持っている少し変わった信念にはどのようなものがありますか。また、それが正しいことだと感じたために、自分にとって居心地の悪い状況でどのようにその信念を守りましたか』といった質問をします。これは特定の信念を求めているわけではありません。私たちが見ているのは、『これは正しいことだと感じましたし、人気のある考えではなかったかもしれませんが、本当にそれを貫きました』と言える能力です」と続けています。
キャリアコーチや元リクルーターによると、Anthropicが求めているもう1つの資質は「知的独立性」です。これは、会社やその使命の追求方法に対して懐疑的であること、ありふれた答えではなく独自性のある答えを求めることを指すそうです。
Anthropicは歴史上最も急成長した企業の1つで、その評価額は9000億ドル(約143兆円)を超える見通しです。今後行われる追加の資金調達が完了すればAnthropicはOpenAIを上回り世界で最も価値の高いAIスタートアップとなります。
リクルーターによると、ソフトウェア企業の最高技術責任者がその地位を手放してAnthropicで「テクニカルスタッフの一員」として働くなど、多くの人々が立場を捨ててまで入社を熱望しているとのこと。主要な職種では提示される年収が85万ドル(約1億3600万円)に達することもあるため、入社は人生を左右するほど重大です。
一部の候補者は面接対策に多額の費用を支払っていて、OpenAIやAnthropicへの入社経験がある利用者は平均して約4600ドル(約73万円)を面接対策に費やしているとのこと。
ベンチャーキャピタル企業SignalFireが発表した分析によると、Anthropicは2年間で80%という同業他社最高の定着率を誇っています。エンジニアがOpenAIからAnthropicへ移る可能性は、その逆の8倍であり、またGoogle DeepMindからAnthropicへ移る可能性は約11倍だと同レポートは指摘しています。
Anthropicの最高商務責任者でるポール・スミス氏は「私は非常に型破りな人材を求めています」と発言。ダリオ・アモデイCEOは「Anthropicの課題は、自社を特徴づけてきた使命へのコミットメントを薄めることなく急成長することです」と語りました。
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