地球より圧倒的に多くの生物が存在する「理想の星」はどんな環境なのか? – GIGAZINE


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地球は陸上から海中まで生命にあふれた星ですが、中には不毛な寒冷地帯や砂漠といった生命にとって不向きな場所もあります。科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtが、地球よりもさらに生命の繁栄にとって理想的な星が一体どんな星になっているのかを考察しました。

Why Earth Sucks Compared to the Planet Hestia – YouTube


地球は生命の楽園のように思えるかもしれませんが、その大部分は凍った大地や砂漠といった生命にとって過酷な環境です。


そこでKurzgesagtは、生命にとって地球よりも理想的な星について考察しました。なお、Kurzgesagtは架空の星をギリシア神話に登場する女神にちなんで「ヘスティア」と名付けています。


まず、ヘスティアにも地球にとっての太陽のように、生命の繁栄にとって必要不可欠な熱と光を供給する恒星が必要です。しかし、太陽のような黄色矮(わい)星(G型主系列星)は寿命が100億年以内と比較的短く、年齢を重ねるにつれて温度が上昇し続けるという欠点があります。


そのため、地球で生命が存在していられる期間のうち70%はすでに過ぎ去っており、あと数十億年もすれば太陽が膨張して地球上の生命は消え去ります。


一方、恒星の70%を占める赤色矮星は黄色矮星よりも小さくて低温であり、数兆年も生き続けることができます。


しかし、熱と光が少ないため赤色矮星の周囲で水が液体として存在できる範囲は狭く、潮汐(ちょうせき)固定によって惑星が自転することができません。その結果、惑星の片面は地獄のような砂漠になり、もう片面は氷に覆われてしまう可能性が高いとのこと。このような環境は、地球よりも生命に適した環境とはいえません。


そのためKurzgesagtは、生命にとって理想的な恒星は黄色矮星と赤色矮星の中間に位置するオレンジ色矮星(K型主系列星)だろうと主張しています。この範囲では熱や光の出力が比較的安定しており、寿命も700億年と比較的長いため、生命が繁栄するのに理想的な環境となります。


続いて、ヘスティアがどのような環境になっているのかを考えていきます。


ヘスティアの半径は地球の1.3倍で、表面積は70%多いとのこと。つまり、生命のための空間が地球よりもはるかに広いというわけです。


一方、地球のほぼ2倍の質量と20%多い表面重力を持つため、その上を歩く生物は地球よりも20%大きな重力を感じることになります。


また、ヘスティアが居住可能な星になるには他の条件も必要です。1つ目は、ヘスティアを太陽嵐や宇宙放射線から守る磁場です。ヘスティアの内部には液体マントルの中で回転する金属製のコアがあり、これがヘスティアを守るのに最適な強度の磁場を生み出していると仮定します。


2つ目が、地殻プレートの破壊と混合を促すプレートテクトニクスです。大陸プレートが深部へと移動することで地表から二酸化炭素が除去され、ヘスティアの地表が最適な温度に保たれるというわけです。


さらにプレートテクトニクスは、生命の糧となる水・ミネラル・元素の混合物を運んでくるという役割も担っています。


ヘスティアを生命にとって最適な星にするには、まだ調整するべき点があります。まず、ヘスティアの地軸を傾けて季節的な変化を生み出し、1日を36時間としました。


また、地表を穏やかな環境で安定させるため、周囲に4つの月を配置します。


続いてヘスティアの大陸と海のバランスについて考えます。地球の大きな欠点のひとつとKurzgesagtが指摘するのが、「土地の大部分が大きな大陸に囲まれており、その中央部が海から離れすぎているせいで、資源が乏しい過酷な砂漠になっている」という点です。


ヘスティアでは海岸線を最大限に活用するため、巨大な大陸は存在しません。多数の断片化したプレートにより、数十の大陸と大小さまざまな形状の数百万もの島々が形成されています。


土地がすべて海水または淡水に囲まれることで、乾燥した砂漠地帯は存在せず、生命にとって理想的な陸地が広がります。


また、ヘスティアの温度は地球よりも5℃高くなっており、これにより陸上のバイオマスも大幅に増加しています。


地球上で最も生命が繁栄しているのは熱帯雨林です。地球の陸地に占める熱帯雨林の割合はわずか10%ですが、そこに陸上生物種の50%が生息しているとのこと。熱帯雨林はどの陸上生態系よりも多くのバイオマスを蓄えており、ヘスティアも主に熱帯雨林と氷のない極地で構成されています。


ヘスティアの島々には膨大な数のニッチな環境があり、それぞれの環境に特化した極めてユニークな生物が生息します。


さらに、ヘスティアの空もさまざまな生物にあふれた環境となっています。


ヘスティアの質量は地球よりも大きいため、地球の大気よりも強固なガスを保持しています。大気の圧力は地球の1.5倍弱と非常に厚く、酸素と二酸化炭素もはるかに豊富です。


酸素濃度が高いと山火事が発生しやすくなるというデメリットがありますが、ヘスティアは非常に温暖で湿度が高いため降雨が多く、生態系を壊滅させるほど壊滅的な山火事には発展しないという設定です。


また、昆虫のような生物は拡散によって呼吸しており、それによって体の大きさが制限されています。ところが、ヘスティアの大気では昆虫も巨大化することが可能なため、陸上最大の生物が「四足歩行する昆虫」になる可能性もあるとKurzgesagtは考えています。


酸素が豊富なため生物の代謝も速くなり、より高い活動レベルを維持できるようになります。その結果として捕食者による狩りも活発となり、獲物の逃げ方もダイナミックになっていきます。


地球の薄い大気では飛行に多くのエネルギーが必要ですが、ヘスティアの高密度な大気では生命が飛行するコストが非常に低いです。


生物が浮遊するために必要な翼とエネルギーは地球よりもずっと小さくなり、多くの生物が飛行するように進化すると考えられます。


中には「雲を突き抜けて空を飛ぶクジラのような生物」が誕生する可能性もあり、これらの巨大生物はまるでクジラが大量のプランクトンを飲み込むように、膨大な数の鳥のような飛行生物を飲み込みます。これらの生物は巨大な体を持ちますが、産卵時と死ぬ時以外は決して地面に降りないと想像できるそうです。


濃密な大気は音が伝わりやすいという特性もあり、ヘスティアの生物は絶えず鳴き声でコミュニケーションを取っていると考えられます。


そのため、「特殊な音を鳴らして自分の位置を誤認させ、獲物が混乱したところを捕まえる」といった捕食者が進化する可能性もあります。


また、ヘスティアは海の環境も地球とは異なります。


地球の海洋は地表の大部分を占め、その平均水深は3700mですが、太陽光は水深200mまでしか届きません。この日光が届く範囲が、食物連鎖の基盤であるプランクトンが日光を糖に変換できる唯一の場所であり、この比較的浅い範囲に海洋生物種の90%が生息しています。


生命にとって最適な環境を想定すると、ヘスティアでは海洋のほぼすべてが水深100~200mの大陸棚となり、日光の届かない深海はほとんど存在しないことになります。


浅い海は水温が上下しやすく、季節の変化が激しくなって嵐も増えます。しかし、混乱は生命を多様化させる原動力ともなります。


ヘスティアの海には息を飲むほど広大な生態系が存在し、サンゴが数千kmにわたって都市のように連なり、多種多様な生物が生息地を奪い合っています。


陸と海の生態系が交わる海岸線の多さも、ヘスティアの生物多様性を高める助けになります。ここでは鳥が魚を食べたり、ワニがゴリラを食べたりするとのこと。海岸線がヘスティアの面積に占める割合はわずか7%ほどですが、生物種の50%が海岸線の近くに生息するとみられます。


地球には約900万種の複雑な生物が存在していますが、ヘスティアに生息する生物は数億種に達する可能性があるとのこと。


そして、地球では人間という知的生命体が誕生したように、ヘスティアにも知的生命体が誕生する可能性があります。


非常に多くの生態系が存在するため、まったく異なる知的生命体が複数回にわたり、独立して進化するかもしれないとのこと。


ヘスティアのような星が実際に存在するかどうかはわからないものの、宇宙には膨大な数の星があるため、どこかに地球の歴史全体を通じて生まれた数よりもはるかに多くの生命が息づく星もあるかもしれないとKurzgesagtは述べました。

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