しかし、「ニワトリは首を切断された直後の数秒間に生きているかどうか」という問いに対する答えは、死の定義によって専門家の間でも意見が分かれているそうです。首を切断されたニワトリの場合、まずは脳死状態になってから数秒後に心臓死が起こります。従って、脳死から心臓死までの数秒間について言えば、ニワトリは生きているとも死んでいるとも言えるとLive Scienceは述べています。
多くの国では、大脳・小脳・脳幹のすべての機能が永久的に失われた状態を脳死と定義しており、この状態に陥ると生物は自力呼吸ができなくなります。2019年に学術誌のAnimalsに掲載された論文によると、ニワトリの脳における電気活動は首の骨折(頸椎脱臼)から30秒以内に停止するものの、数秒ほどは電気活動が残存しているとのこと。首を切ることには首の骨折も含まれるため、ニワトリが首を切られてから脳死に至るまでは数秒ほどの時間差があります。
カナダのレスブリッジ大学で鳥類の脳について研究しているアンドリュー・イワニウク博士は「これは、動物たちがその数秒間に起きていることを意識的に認識しているという意味ではありませんが、残存する電気活動は生じています」と述べました。
イワニウク氏によると、ニワトリが首を切断された後も動いているのは、脊髄にいくらかの神経活動が残っているからだそうです。一方、心臓を動かす心筋は神経からの刺激がなくても、エネルギーと酸素が尽きるまでは収縮と弛緩を繰り返します。

心臓が完全に停止する心臓死は、脳死の数秒後に起きる可能性があるとのこと。イワニウク氏は脳死から心臓死までの時間差について、「10秒未満でしょう」と語っています。
こうした死の定義の違いから、ログスドン氏はニワトリの首を切断した後の動きを単なる「死後反射」だと見なしているのに対し、イワニウク氏は首を切断してから筋肉をけいれんさせている間もニワトリは「生きている」と見なしています。
このように専門家らは「ニワトリは首を切断されるとすぐに死亡するか、せいぜい数秒間しか生きられない」と考えていますが、有名な首なし鶏マイクの場合は首を切断した後も18カ月間にわたって動き続けました。
ログスドン氏は、マイクの首を切ったオルセンさんは完全に胴体と脳を切り離したのではなく、実際は「脳の一部と顔の大部分」を切り離したのだろうと指摘。報道によると、確かにマイクの首は切断されていたものの、胴体側には脳の後部と片耳が残っていたそうです。
マイクの場合、おそらく呼吸や心拍数の調節といった基本的な生理機能をつかさどる脳幹が胴体側に残っており、おそらく運動をつかさどる小脳も残っていた可能性があるとのこと。ログスドン氏は「おそらくこれが、マイクがただ走り回ったり翼をばたつかせたりするだけでなく、実際に立ち上がって歩くことができた理由でしょう」と語りました。
首を切り落とされても18カ月間生存した「首なし鶏マイク」、持ち主のひ孫が当時を語る – GIGAZINE
