iPS細胞から培養した人の脳神経細胞をシリコンチップにつないだ世界初の商用バイオコンピューター「CL1」を開発するオーストラリアのスタートアップ・Cortical Labsが、複数のCL1で構成されたクラウドコンピューティングでFPSゲーム「DOOM」のプレイを学習させるという試みを行っています。
Living Human Brain Cells Play DOOM on a CL1 – YouTube

CL1はCortical Labsが2025年に発表した世界初の商用バイオコンピューターで、培養した人の脳神経細胞をシリコンチップにつなぎ、AIをはじめとするニューラルネットワークによる計算を行うことができます。
人間の脳細胞を使った「世界初の商用バイオコンピューター」が登場 – GIGAZINE
CL1を完成させる以前の2021年、Cortical LabsはiPS細胞から分化させた人の脳神経細胞を機械と相互作用させる「DishBrainシステム」を構築しており、このDishBrainシステムに卓球ゲーム「PONG」の1人用モードをプレイさせることに成功しています。
実際に「DishBrainシステム」がPONGをプレイしている様子は以下のムービーから見ることができます。PONGの場合は「適応型リアルタイム目標指向学習」を実証しており、ソフトウェアとハードウェアの構築に18カ月以上を要したそうです。
Human brain cells in a dish learn to play Pong – YouTube

一方で、このニュースを聞いたインターネットの住人からは「DOOMはプレイできないのか?」という問いが殺到したとのこと。
PONGはバーを上下に動かすだけですが、DOOMの場合は3D空間を前後左右に動かし、敵がいたら倒す必要があり、非常に複雑。そのため、Cortical Labsは「Cortical Cloud」というニューラルネットワークシステムを構築。さらにあらゆるユーザーがPythonでCL1にプログラミングできる「CL API」を開発しました。
そして、独立研究者のSha氏がCL APIを利用し、ゲーム映像を電気刺激パターンにマッピングすることに成功しました。
例えば、画面の左側に敵が出現すると、特定の電極が左側の神経の感覚領域を刺激します。
この刺激に対するニューロンの反応を運動コマンドに変換し、特定パターンで射撃、別パターンで右移動などに割り当て、DOOMをプレイ可能にするという仕組みです。
APIが整ってから、Sha氏がCortical Cloud上にDOOMのプレイを学習する環境をわずか1週間で実装し、実験がスタート。記事作成時点は初心者レベルですぐにやられてしまうことも多いそうですが、敵を探して撃つなど学習の効果が見えるとCortical Labsは述べています。
Cortical Labsは、DOOMのような複雑な課題でもデジタルの情報を電気刺激として細胞に流し込み、その反応を読み取って操作に戻す往復が成立したので、少なくとも入出力の接続自体は解決したとみています。
そのうえで「上手くなるための学習設計が次の課題」と語り、情報の符号化をどう作るか、報酬やフィードバックをどう与えるか、反応をどう解釈するかを改良していけば、DOOMをもっとうまくプレイできるはずだという見通しを述べました。
なお、CL1にDOOMをプレイさせるために開発されたコードは、GitHubでGPL-3.0ライセンスに基づいて公開されています。
GitHub – SeanCole02/doom-neuron: Human brain cells play Doom (CL1)
https://github.com/SeanCole02/doom-neuron
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