この1カ月にわたる実験には20人の被験者が参加し、「超加工食品を好きなように食べるグループ」と「未加工の自然食品を好きなように食べるグループ」にランダムに割り当てられました。被験者はそれぞれの食品プールから好きなように食品を組み合わせ、自分が食べたい食事を構築することができました。グループは実験期間の途中で入れ替えられ、各被験者は両方の食生活を実践しました。
分析の結果、「未加工の自然食品を好きなように食べるグループ」は「超加工食品を好きなように食べるグループ」と比較して、重量ベースで57%も食事の量が多かったことが判明。その一方で、超加工食品のグループよりも摂取カロリーは1日あたり平均330kcalも少なく抑えられました。

未加工の自然食品を食べた被験者は決して食材を丸かじりしたわけではなく、ステーキやパスタ、クリームといった高カロリー食品を選択することもできました。しかし、これらの被験者は高カロリー食品だけで腹を満たす代わりに野菜や果物といった食材を選び、バランスのいい食事をとる傾向があったとのことです。
論文の筆頭著者でありブリストル大学で実験心理学教授を務めるジェフ・ブランシュトロム氏は、「加工されていない食品を与えられた人々が、食事の楽しみと栄養、満腹感をバランスよく取り入れつつ、総エネルギー摂取量を減らす食品を直感的に選ぶ様子は興味深いものです。私たちの食の選択は偶然ではありません。食品が自然な状態で提供される時、これまで考えられていたよりもはるかに賢明な判断を下しているようです」とコメントしています。
また、論文の共著者である栄養ジャーナリストのマーク・シャッカー氏は、「被験者が高カロリー食品だけを食べていた場合、いくつかの必須ビタミンやミネラルが不足し、最終的には微量栄養素欠乏に陥っていたことが私たちの研究結果から明らかになりました。こうした微量栄養素の不足は、低カロリーの果物や野菜によって補われました」と述べました。
一方、超加工食品のグループも「超加工食品はカロリーが高い割に栄養価に乏しいエンプティカロリーだ」という考えと裏腹に、ビタミン強化などを通じて必要な栄養素は摂取できていた可能性が高いことが示されました。その代わり、同じ栄養素を摂取するのに必要なカロリーが圧倒的に高く、結果的に摂取カロリーが増えた可能性が示唆されています。
以下の写真は、上段が未加工食品の昼食(左)と夕食(右)、下段が超加工食品の昼食(左)と夕食(右)の一例です。見た目からも未加工食品の食事の方が量が多く、肉だけでなく野菜も豊富で栄養バランスが良さそうに感じられます。

今回の研究結果からは、人間にはエネルギー密度が高い食品を犠牲にしても栄養価の高い野菜や果物を優先する、「nutritional intelligence(栄養知能)」が備わっていることが示唆されています。しかし、高カロリーでありながら栄養素が強化された超加工食品の存在が栄養知能を損ない、結果として過剰なカロリー摂取につながる可能性があると研究チームは考えています。
ブランシュトロム氏は、「食べ過ぎが必ずしも問題なのではありません。実際、私たちの研究では加工食品中心の食事をする人々に比べ、自然食品中心の食事をする人々がはるかに多くの量を食べていることが判明しました。しかし、食品の栄養構成が選択に影響しており、超加工食品は人々をより高カロリーな選択肢へと誘導しているようです。これにより、たとえ摂取量がはるかに少なくても過剰なエネルギー摂取につながり、肥満を助長する可能性が高くなります」と述べました。