ドイツのシンクタンクであるキール世界経済研究所が2026年1月に発表した研究では、2025年にアメリカが課した関税の負担は対象となった外国企業ではなく、コストの大部分をアメリカ国内の輸入者や消費者が負っていることが示されました。研究者はこれを「オウンゴール」と表現しています。
America’s Own Goal: Who Pays the Tariffs? – Kiel Institute
https://www.kielinstitut.de/publications/americas-own-goal-who-pays-the-tariffs-19398/
(PDFファイル)Kiel Policy Brief January 2026 Americaʼs Own Goal: Who Pays the Tariffs?
https://www.kielinstitut.de/fileadmin/Dateiverwaltung/IfW-Publications/fis-import/5250d502-d828-45b9-a044-264d8b8da139-KPB201_EN.pdf
アメリカのドナルド・トランプ大統領は2025年に国内産業の保護や貿易交渉の圧力を目的として、日本を含む世界各国への相互関税を導入しました。結果として、アメリカの関税収入は2025年に約2000億ドル(約31兆円)増加しています。
アメリカの関税政策が機能したのかどうかを調査するため、キール世界経済研究所は2024年1月から2025年11月の2500万件以上の取引データを分析しました。分析では、輸入価格に対する関税の「転嫁」、すなわち「関税が実際はどこにコストとして負担されているか」を検証しています。
調査の結果、関税コストの約96%がアメリカ国内の輸入者や消費者に転嫁され、外国輸出業者に吸収された関税コストはわずか4%にとどまっていたことが判明しました。具体的には、輸入品価格の上昇で消費者の負担が増えたほか、国内製品価格にも関税が影響を与えていることが分かっています。トランプ関税によってアメリカ人の負担が増すことは相互関税の発表直後から指摘されていました。
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2025年に増加した約2000億ドルの関税収入は、実質的に「アメリカ国民によって支払われる税金」となっていたと研究者らは述べています。
また、研究では2025年8月にブラジルとインドに課された関税引き上げについても分析しています。ブラジルからの輸入品に対する関税は50%に、インドへの輸入品に対する関税は25%から50%に突然引き上げられました。関税の引き上げは「外国の輸出業者が追加関税を相殺するために価格を引き下げる」ことを期待して行われることがありますが、調査の結果として価格の引き下げは行われず、輸出業者による関税の吸収はありませんでした。研究者は「インドからアメリカへの輸出とヨーロッパやカナダへの輸出を比較したところ、明確なパターンが浮かび上がりました。アメリカへの輸出額と輸出量はともに最大24%も急落しました。しかし、インドの輸出業者が請求する単価は横ばいでした。輸出量が減っただけで、安くなったわけではないのです」と指摘しています。
キール研究所の研究ディレクターであるジュリアン・ヒンツ氏は「外国がこれらの関税を負担しているという主張は神話です。データは正反対を示しました。つまり、アメリカ人がそのツケを払っているのであり、関税は『オウンゴール』です」とプレスリリースでコメントしています。
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