「ダニ由来の肉アレルギー」によって死亡した初の症例が報告される – GIGAZINE


近年はマダニにかまれることで赤身肉アレルギーを発症する事例が相次いで報告されており、2023年にはアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が「約45万人のアメリカ人がマダニが原因の赤身肉アレルギーを抱えている可能性がある」と警告しました。そんな中、マダニによる赤身肉アレルギーで死亡した世界初の症例が報告されました。

Implications of a fatal anaphylactic reaction occurring 4 hours after eating beef in a young man with IgE antibodies to galactose-α-1,3-galactose – The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice
https://www.jaci-inpractice.org/article/S2213-2198(25)00953-5/fulltext


1st Death Linked to ‘Meat Allergy’ Spread by Ticks
https://newsroom.uvahealth.com/2025/11/13/1st-death-linked-to-meat-allergy-spread-by-ticks/

First Confirmed Death From Tick-Acquired Meat Allergy Prompts Warnings : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/first-confirmed-death-from-tick-aquired-meat-allergy-prompts-warnings

アメリカのニュージャージー州に住んでいた47歳の男性は、2024年の夏に妻と子どもと一緒にキャンプへ出かけて1日屋外で過ごし、夜の22時に夕食としてビーフステーキを食べました。男性の一家は普段鶏肉ばかり食べており、牛肉を食べるのは珍しいことだったそうです。

その後、男性は午前2時に腹部の不快感で目覚め、やがて激しい腹痛と下痢、嘔吐(おうと)に見舞われました。2時間後には症状が治まって男性は眠ることができ、翌日には普通に朝食を食べて、5マイル(約8km)も歩けるほどに回復したと報告されています。当時、男性は息子に対して「死ぬかと思った」と話していたとのこと。

男性はしばらく何事もなく過ごしていましたが、2週間後に行ったバーベキューで15時頃にハンバーガーを食べたところ、帰宅した後の19時20分頃に再び具合が悪くなったとのこと。19時30分には、嘔吐して浴室の床に倒れている男性を発見した息子が救急車を呼び、救急隊員による救命措置が行われたものの、22時22分に死亡が確認されました。


検視の結果、男性の各器官に有意な異常はみられず、「原因不明の突然死」であると遺族に報告されました。しかし、男性の妻はこれに納得できなかったため医師に検視報告書の見直しを依頼し、この医師が「肉アレルギーの疑いがある」として、世界的に著名なアレルギー専門家であるバージニア大学医学部のトーマス・プラッツ=ミルズ博士に連絡したとのこと。

プラッツ=ミルズ博士が男性の死後に採取された血液サンプルを調査したところ、男性が多くの哺乳類のタンパク質に含まれる「ガラクトース-α-1,3-ガラクトース(α-gal)」という炭水化物に反応してしまう「赤身肉アレルギー」だったことが判明。また、アナフィラキシー反応の指標となるトリプターゼが血液1mlあたり2000ng(ナノグラム)を超えていることを発見しました。この数値は、致死的なアナフィラキシーの症例で記録された最高値と同等だったそうです。

男性が赤身肉アレルギーになってしまったのは、マダニの一種であるローンスターダニ(Amblyomma americanum)にかまれたためだとみられます。α-galはマダニのだ液に含まれており、マダニにかまれることでα-galの抗体が作られ、赤身肉アレルギーを発症する場合があることがわかっています。

男性の妻によると、男性は2024年の夏に足首周りを12~13回ほどツツガムシにかまれていたとのこと。実際のところこの時男性をかんだのはツツガムシではなく、赤身肉アレルギーを引き起こすマダニだったというわけです。

専門家たちは長らく、「赤身肉アレルギーが致命的になる可能性がある」と考えてきましたが、実際にマダニによる赤身肉アレルギーで死亡した症例が報告されたのは今回が初めてです。男性が重症化した理由としては、肉と一緒にビールを飲んだこと、ブタクサの花粉にさらされたこと、その日の午後に運動したことなど、複数の要因が絡んでいるとみられます。


プラッツ=ミルズ博士は、「一般の人にとって重要な情報は、まず第1に、牛肉・豚肉・羊肉を食べてから3~5時間で生じる激しい腹痛は、アナフィラキシー反応を疑って調査するべきということです。第2に、1週間以上かゆみが持続するダニ、あるいはダニの幼虫によるかみ傷が、哺乳類由来の肉に対する感作を誘発・増強し得るということです。一方、軽度~中度のじんましんを発症する肉アレルギー患者の大多数は、適切な食事療法で症状をコントロールできます」と述べました。

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