MicrosoftがAI開発におけるOpenAI依存から脱却すべく人間中心の超知能を開発する「MAIスーパーインテリジェンスチーム」の結成を発表、OpenAIとの提携見直しが契機に – GIGAZINE


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MicrosoftのAI開発研究所であるMicrosoft AI(MAI)が、ヒューマニスト・スーパーインテリジェンス(HSI)の実現に向けてMAIスーパーインテリジェンスチームの結成を発表しました。これによりMicrosoftはAI開発におけるOpenAI依存から脱却し、独自のAI開発を進める予定です。

Towards Humanist Superintelligence | Microsoft AI
https://microsoft.ai/news/towards-humanist-superintelligence/


Microsoft Lays Out Ambitious AI Vision, Free From OpenAI – WSJ
https://www.wsj.com/tech/ai/microsoft-lays-out-ambitious-ai-vision-free-from-openai-297652ff

Microsoft superintelligence team promises to keep humans in charge | Semafor
https://www.semafor.com/article/11/05/2025/microsoft-superintelligence-team-promises-to-keep-humans-in-charge

Microsoft AIのムスタファ・スレイマンCEOは、自身のX上で「世界は本当にどのようなAIを求めているのでしょうか?Microsoft AIでは人間中心のHSIの開発に向けて取り組みを進めており、これは人々や人類のために奉仕する形で常に機能する信じられないほど高度なAIです。そしてHSIを実現するため、我々はMAIスーパーインテリジェンスチームを結成しました」と投稿し、MAIスーパーインテリジェンスチームの結成を発表しています。


既存のAIは単純な予測モデルから思考を伴う推論モデルへと移行しており、今後はスーパーインテリジェンス(超知能)へと進化していくと目されています。その過程で最も重要なのが、「人間の尊厳を中心に据えること」であるとスレイマンCEOは言及。技術力の高さではなく、人間性の理解こそがAIの成功を左右する要素になるとMicrosoftは考えているわけです。

そこでMicrosoftが求めているAIの新しい姿が、人間の価値観や文化、創造性を高めるようなAI「HSI」です。MicrosoftはAIを「人間を置き換えるためのもの」ではなく「人間の能力を拡張し、社会全体の幸福を増進するためのもの」として設計すべきと主張しています。

具体的には、医療・クリーンエネルギー・科学研究などの分野において、AIを用いて人間の仕事を強化・支援する用途に重点を置くと明言しました。実際、Microsoftが開発している医療向けスーパーインテリジェンスの「Microsoft AI Diagnostic Orchestrator(MAI-DxO)」は、人間の医師よりも4倍高精度に病気を診断することができます。

MicrosoftのAIツールは医師の診断精度20%に対して80%の精度で病気を診断できる – GIGAZINE


MicrosoftはOpenAIとの協力を通じてAIの開発を続けてきましたが、両社の提携関係は見直しが行われたばかりです。両社は引き続き提携するものの、OpenAIが今後展開する消費者向けハードウェアにMicrosoftは一切権利を持たないことになることが発表されています。

また、Microsoftは今後もOpenAIとの提携を通じて安全で透明性の高いAI基盤の構築を進め、AIの安全性・倫理性・プライバシーを担保するためのガードレールやテスト環境の整備を行っていく予定であるとしています。なお、Microsoftは2032年までOpenAIのAIモデルを利用することができる契約を結んでいるため、スレイマンCEOは「この契約期間を自社製AIへの移行期間とする予定」と語りました。

OpenAIが組織再編、Microsoftとは引き続き提携するもののOpenAIが展開予定のハードウェアは対象から除外 – GIGAZINE


さらに、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、MicrosoftはAI開発におけるOpenAI依存から脱却し、新設されたMAIスーパーインテリジェンスチームを中心に自社でのモデル設計、チップ設計、インフラ整備を行う自律型AI戦略へとシフトしていく予定だそうです。なお、スレイマンCEOはウォール・ストリート・ジャーナルに対して、OpenAIとの関係見直しによりMAIスーパーインテリジェンスチームの設立が可能になったと説明しています。

また、スレイマンCEOは「AIはより人間らしくなっていくでしょうが、苦しみや痛みを経験するという性質は持ちません。そのため、我々はAIに過剰に共感すべきではありません。私たちは、人間の価値観にデフォルトで合致するようなAIを作りたいと考えています」と語りました。

Microsoftは2024年にスレイマンCEOを採用し、新しいAI部門を設立しました。スレイマンCEOはMAIの一部従業員をMAIスーパーインテリジェンスチームに異動させており、このチームのメンバーにはスレイマンCEOがGoogle DeepMindから引き抜いた研究者も含まれるそうです。

なお、MicrosoftだけでなくMetaOpenAIもスーパーインテリジェンスの開発チームを結成しています。

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