
OpenAIは2025年10月16日に、ソーシャルアプリ「Sora」上でマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師のディープフェイク動画の作成を一時停止したと発表しました。これは、キング牧師を題材にしたAI動画が大量に生成されたことに対し、キング牧師の遺産管理団体と遺族から苦情があったためです。
Statement from OpenAI and King Estate, Inc.
The Estate of Martin Luther King, Jr., Inc. (King, Inc.) and OpenAI have worked together to address how Dr. Martin Luther King Jr.’s likeness is represented in Sora generations. Some users generated disrespectful depictions of Dr.…
— OpenAI Newsroom (@OpenAINewsroom) October 17, 2025
OpenAI pauses Sora video generations of Martin Luther King Jr. | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/10/16/openai-pauses-sora-video-generations-of-martin-luther-king-jr/
OpenAI pauses MLK deepfakes on Sora after ‘disrespectful’ videos | The Verge
https://www.theverge.com/news/801539/open-ai-sora-mlk
OpenAIのSoraでは、記事作成時点で最新の動画生成AIであるSora 2が、アニメやゲームのコンテンツが登場するムービーを著作権者に無断で生成できることが問題視されました。特に日本のアニメやゲームが出力可能であることは問題となっており、日本政府はOpenAIに対して著作権侵害をしないよう正式に要請をしています。
日本政府がアニメやゲームなどの日本の知的財産を「かけがえのない宝」と呼んでOpenAIに著作権を侵害しないよう正式に要請したことが海外で話題に – GIGAZINE
そして、OpenAIのSoraでは、実在の人物を登場するムービーも生成できることが問題となっています。例えば、俳優のゼルダ・ウィリアムズは、2014年に亡くなった父親で俳優のロビン・ウィリアムズのAI動画を送りつけてくるファンに対して、「お願いします、パパのAI動画を送るのはもうやめてください。私が見たいとか理解できるとか、とにかくそう信じるのはやめてください。私は見たくもないし、理解できない」とInstagramのストーリーに書いたことが話題となりました。
そして、キング牧師の娘であるバーニス・キング氏は、Instagramでこのゼルダ・ウィリアムズのストーリーに触れ、「父のことについて同意します。やめてください」と語りました。
実際、Soraでは歴史上の人物が登場するムービーが生成可能で、キング牧師を登場させるムービーが無数に生成されています。
中には、キング牧師がまるで猿のように叫ぶ動画も存在します。
他にも、ジョン・F・ケネディ大統領やジョン・レノン、画家のボブ・ロスなど、すでに亡くなった人が登場するムービーはSoraで多く生成されている状態です。
著作権とは異なり、肖像権を保護するための国レベルの枠組みはアメリカに存在しないそうが、州法においては、生きている人物の肖像、そして一部の州では死者の肖像の無断使用に対して訴訟を起こすことが認められています。例えば、OpenAIの本拠地であるカリフォルニア州では、俳優のAIレプリカには死後のプライバシー権が適用されると明確に述べています。
OpenAIは、「歴史上の人物を描くことには強い言論の自由の権利があるものの、OpenAIは、著名人やその家族が最終的には肖像がどのように使用されるかをコントロールすべきだと考えています。権限のある代理人や遺産所有者は、Soraに肖像を使用しないよう要請することができます」と述べました。
なお、IT系ニュースサイトのTechCrunchはキング牧師の財団のライセンス管理機関にコメントを要請しましたが、回答はなかったと伝えています。
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