
AnthropicのチャットAI「Claude」は、ユーザーのGoogleドキュメントやGmailを読み取った上で詳細な調査と分析を行うAIエージェントとしての機能「Claude Research」を備えています。2025年10月16日にはさらに、手元のタスクに関連する資料をClaudeに読み込ませることで、専門的なスキルと融合させてタスクをより効率的に実行できる「Claude Skills」の詳細が発表されました。
Claude Skills: Customize AI for your workflows \ Anthropic
https://www.anthropic.com/news/skills
通常のAIモデルは、1つのプロンプトを単独のエージェントが処理するだけで十分に有用な結果が生まれます。一方でClaudeは、複数のエージェントを組み合わせることによってプロンプトを並行処理しており、単独のエージェントよりも高度で複雑な作業が可能になっています。この「マルチエージェントシステム」は課題をサブエージェントのタスクに分解することで、正しい回答をより見つけることができるようになっているとAnthropicは社内調査評価を明らかにしています。
AnthropicがマルチエージェントのClaude Researchシステムの構築方法を詳細に説明、シングルエージェントシステムと比較して社内評価が大幅に向上 – GIGAZINE
Claudeは、チャットAIの実用性をより高めるためには「手順」「組織知識」「ファイル操作能力」などの補助が不可欠だという課題を抱えていました。そこで新しく導入されたのが「Claude Skills」です。Claude Skillsでは、タスクに応じてスクリプトやリソースをまとめたフォルダなどにアクセスし、Excelの操作や組織のガイドラインに準拠した出力など、専門的なタスクをより効率的に実行できるようになります。
以下は、Anthropicが公開したClaude Skillsに関するムービー。
Claude Skills: Specialized capabilities you can customize – YouTube

ムービーでは、とあるゲーム会社をイメージしてユーザーがアップロードしたデータ(新作ゲームの資料やその他社内の情報)を組み合わせることで、スライド資料を生成しています。
ファイルをアップロードした状態で、Claudeに「新作ゲームのスライド資料を作って」と依頼したところ、Claudeはタスクに必要なスキルを呼び出すのと同時に、アップロード済みの資料を参照して必要な情報を自動で抽出しました。
Claudeはドキュメント作成などの一般的なスキルと、新作ゲームの資料やその他社内の情報を組み合わせることで、スライド資料を生成しています。
また、ポスター作成スキルとゲームの資料を組み合わせて、ポスターデザインの提案も可能。
通常、AIエージェントにファイルを読み込ませて作業を実施する場合、ある程度時間がかかったり高負荷になったりします。Claudeは必要最小限の情報とファイルのみを読み込むため、専門知識にアクセスしながらも高速に作業を進めることができるとのこと。AnthropicでClaude開発に携わっているアレックス・アルバート氏は「Claude Skillsは、専門知識をパッケージ化し、Claudeが複雑なタスクに取り組む際にオンデマンドでロードできます。大まかに言えば、『マトリックス』で主人公・ネオがカンフーの能力をロードして数秒で取得したようなものです」と解説しています。
Today we’re introducing Skills in claude dot ai, Claude Code, and the API.
Skills let you package specialized knowledge into reusable capabilities that Claude loads on demand as agents tackle more complex tasks.
Here’s how they work and why they matter for the future of agents: pic.twitter.com/xbPO1teBLZ
— Alex Albert (@alexalbert__) October 16, 2025
そのほか、Claude Skillsは「スキルの組み合わせが可能」「Claudeアプリ、Claude Code、APIにおいて共通形式で使える」「単なるプロンプトによる生成ではなく、スキル内に実際のコードを含め、そのコードをClaudeが安全に実行して結果を返すことができる」といった特徴を備えています。
Claudeに専門的な知識や手順を効率的に組み込む「Agent Skills」について、どのようにスキルを設計しているのか、詳細な仕組みやアーキテクチャについては、Anthropicのエンジニアリングブログで詳しく説明されています。
Equipping agents for the real world with Agent Skills \ Anthropic
https://www.anthropic.com/engineering/equipping-agents-for-the-real-world-with-agent-skills
Agent Skillsは、基本となる「SKILL.md」というファイルにスキルの名前や説明を記載し、必要に応じて他のファイルを組み合わせて構成されます。スキルが複雑化するにつれて単一の「SKILL.md」に収まらないほど多くのコンテキストが含まれるようになりますが、Claudeは名前を参照して特定のスキルを呼び出すため、タスクに応じて必要な情報だけを効率的に読み込むことで、無駄な処理を避けつつ専門的な作業を実行できます。スキルの実行には直接的な指示は必要なく、ユーザーのメッセージによって必要なスキルがトリガーされ、Claudeの応答が変化します。
スキルはClaudeに新たな能力を提供する一方で、悪意のあるスキルが環境に含まれている場合、Claudeに意図しない行動を取らせたり、データを盗み出させたりできる可能性があります。そのため、「スキルは信頼できるソースからのみインストールし、信頼性の低いソースからスキルをインストールする場合は、使用前に徹底的に監査してください」とAnthropicは警告しています。
また、独自のスキルを作成する際は、手動でファイルを編集する必要はなく、Claudeとワークフローについて対話するだけで簡単に完了します。以下は、カスタムスキルを作る手順について紹介したムービー。
Creating custom Skills with Claude – YouTube

Claude Skillsは、Claudeアプリ(Pro/Max/Team/Enterprise)およびAPI、Claude Codeで利用可能。Anthropicは今後、スキル作成ワークフローのさらなる簡素化や、組織内でのスキル共有を容易にする仕組みの開発にも取り組んでいくと述べています。
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