単一細胞の詳細な分析(シングルセル解析)が可能なAIモデル「Cell2Sentence-Scale 27B (C2S-Scale 27B)」がGoogleとイェール大学の共同研究によって開発されました。C2S-Scale 27Bは免疫治療などの研究開発に役立つことが期待されており、すでにがん免疫治療に役立てるための研究が始まっています。
Scaling Large Language Models for Next-Generation Single-Cell Analysis | bioRxiv
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2025.04.14.648850v2
Google’s Gemma AI model helps discover new potential cancer therapy pathway
https://blog.google/technology/ai/google-gemma-ai-cancer-therapy-discovery/
C2S-Scale 27BはGemmaをベースに開発された270億パラメータのモデルです。C2S-Scale 27Bの技術自体は2025年4月に発表されており、チャットAIと会話するような感覚で細胞や生物学に関する予測タスクと生成タスクをこなせることが明かされていました。
大規模言語モデルの世界では「モデルの規模が大きくなるほど性能が高まる」というスケーリング則が提唱されています。2025年4月の研究発表時点でC2S-Scaleにもスケール則が当てはまることが実証されていたことから、研究チームは270億パラメータという比較的大規模なモデルを開発し、今回の発表をもって一般公開に至りました。
研究チームはC2S-Scale 27Bの実用性を検証するために「がん細胞を見つけるために、低容量のインターフェロンが存在する環境下でのみ免疫シグナルを増強する薬剤」を見つけ出すという実験を行いました。C2S-Scale 27Bは4000種類以上の薬剤の効果をシミュレートし、「シルミタセルチブ(CX-4945)という薬剤が効果的である」という予測を提示。研究チームがシルミタセルチブの効果を実験室で検証した結果、シルミタセルチブは「インターフェロンが存在しない環境では抗原提示能力を示さず、低容量のインターフェロンが存在する環境では抗原提示の顕著な相乗的増幅を呈する」という指示通りの効果を示すことが確認されました。
研究チームは今回得られた成果の探求を進めるほか、他の免疫学的状況でのAIの効果も検証する姿勢を示しています。
C2S-Scale 27Bのモデルデータは以下のリンク先で公開されています。
vandijklab/C2S-Scale-Gemma-2-27B · Hugging Face
https://huggingface.co/vandijklab/C2S-Scale-Gemma-2-27B
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