OpenAIがAI処理チップを独自開発するべくBroadcomと戦略的パートナーシップを締結、10ギガワット級のチップを生産予定で契約金は数千億円 – GIGAZINE


ChatGPTなどで知られるOpenAIが、半導体企業のBroadcomと協力し、10GW(ギガワット)級のカスタムAIチップを開発、導入する計画を発表しました。

OpenAI and Broadcom announce strategic collaboration to deploy 10 gigawatts of OpenAI-designed AI accelerators | OpenAI
https://openai.com/index/openai-and-broadcom-announce-strategic-collaboration/


OpenAI and Broadcom announce strategic collaboration to deploy 10 gigawatts of OpenAI-designed AI accelerators
https://jp.broadcom.com/company/news/product-releases/63631

OpenAI Partners With Broadcom to Build Its Own AI Chip
https://www.eweek.com/news/openai-partners-with-broadcom-oct-2025/

OpenAI partners with Broadcom custom AI chips alongside Nvidia, AMD
https://www.cnbc.com/2025/10/13/openai-partners-with-broadcom-custom-ai-chips-alongside-nvidia-amd.html

AIモデルの性能を向上させるためには、AI処理用の専用チップ(アクセラレータ)が不可欠になってきています。多くのAI企業はNVIDIAやAMDなどのAIアクセラレータ製造者に依存しており、供給の不安定やコスト増、最適化の限界といった課題があります。そのため、ソフトバンクが約9700億円でデータセンター向け半導体企業を買収していたり、Metaが初の自社製AIトレーニング用チップを試験的に導入していたりと、AIに力を入れている企業の多くが自社チップ戦略を進めています。

そんな中、OpenAIは2025年9月末にNVIDIAとの間で、NVIDIA製GPU数百万基に相当する10GW規模のシステムを構築する戦略的パートナーシップを結ぶことを発表しました。さらに2025年10月6日にはAMDとの提携も発表し、合計6GWのAMD Instinct GPUを導入する複数世代の契約を結んだことを明らかにしています。

OpenAIとAMDが提携、OpenAIがAMD株を最大10%取得して6ギガワット級のAMD製システムを導入へ – GIGAZINE


OpenAIはさらに、10GWのカスタムAIアクセラレータに関する戦略的パートナーシップをBroadcomと提携することを2025年10月13日に発表しました。OpenAIはAI処理用チップやシステムの設計を行い、最先端のAIモデルや製品の開発から得た知見をハードウェアに直接組み込むことで、より高性能なAIの実現を目指します。Broadcomはイーサネットなどの通信・接続技術を提供し、AIシステムを大規模に運用できるように支援します。

OpenAIのサム・アルトマンCEOは「Broadcomとの提携は、AIの潜在能力を引き出し、人々や企業に真の利益をもたらすために必要なインフラを構築する上で重要な一歩です。私たちが独自のアクセラレータを開発することで、AIの限界を押し広げ、人類全体に利益をもたらすための必要な能力を構築する、より広範なエコシステムに貢献していきます」と述べています。

Broadcomのホック・タンCEOは「BroadcomとOpenAIの協業は、汎用人工知能(AGI)の実現に向けた極めて重要な節目となります。OpenAIはChatGPT以来、AI革命の最前線に立っています。AIの未来を切り開くために、10GWの次世代アクセラレータとネットワークシステムを共同開発、導入できることを大変嬉しく思います」とコメントしました。また、契約後にポッドキャストに登場した際には、「より優れたモデル、さらには超知能へと進んで行く中で、最高かつ最新のコンピューティング能力はこれからも必要になります。自社でチップを開発すれば、自らの運命をコントロールできるのです」とタンCEOは語りました。

OpenAIとBroadcomの契約について、コストや金銭的条件などは記事作成時点で明かされていません。Broadcomの2025年9月の決算報告には100億ドル(約1兆5000億円)規模の顧客が含まれていましたが、OpenAIと契約後のCNBCのポッドキャストに出演したBroadcomの半導体ソリューション部門社長であるチャーリー・カウワス氏は「100億ドル規模のパートナーはOpenAIではない」とウワサを否定しました。


ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、この契約は数十億ドル(数千億円規模)のものになるとのことで、Broadcomの株価は発表当日の午前中の時点で10%近く上昇しています。また、事情に詳しい関係者によると、アルトマンCEOは「2033年までに250GWのコンピューティング能力を構築したいと考えている」と従業員に伝えているそうで、数兆円を超える費用をどのように調達するか注目されています。

アメリカのテクノロジー・ビジネス系メディアであるeWeekはOpenAIとBroadcomの提携を「重要な賭け」と表現しており、成功すればAIの計算基盤そのものを刷新できるインパクトを業界に与える可能性がある一方で、チップの設計と製造は複雑で費用もかかり遅延が発生しやすいため、「Broadcomの専門知識をもってしても、OpenAIが目指す規模で新しいハードウェアを統合するのは険しい道のりになる」と指摘しています。一部のアナリストは、コストが急上昇してスケジュールが遅延したにも関わらずNVIDIAのCPUに劣る可能性もあり、「実行リスクが極めて大きい」と述べています。

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