2025年のノーベル平和賞の受賞者はベネズエラの野党指導者であるマリア・コリナ・マチャド氏に決まりました。ベネズエラでは独裁体制が敷かれており、ノーベル賞の選考委員会はマチャド氏の「ベネズエラ国民の民主的権利を促進するためのたゆまぬ努力」と「独裁政権から民主主義への公正かつ平和的な移行を目指す闘い」を評価しています。
Maria Corina Machado – Facts – 2025 – NobelPrize.org
https://www.nobelprize.org/prizes/peace/2025/machado/facts/
ベネズエラは南米に位置する共和制国家ですが、大統領が強力な権限を持っており、実質的な独裁政治が続いています。現職のニコラス・マドゥロ大統領は2013年から3期にわたって大統領を務めているのですが、不正選挙の指摘も多数挙がっています。
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マチャド氏は1967年生まれのベネズエラ人で、学生時代は工学と金融を学び、1992年にストリートチルドレンの支援団体であるAtenea Foundationを設立。2002年には選挙監視団体の「Sumate(スマテ)」を共同設立し、2010年に記録的な得票数で国会議員に初選出されました。
マチャド氏は2012年にベンテ・ベネズエラ党を結党したのですが、2014年には「マドゥロ政権への抗議活動を率いた」という理由で議員資格を剥奪されました。その後も活動を続け、2023年には2024年大統領選挙への出馬を表明。しかし、2024年1月に最高裁が「マチャド氏の公職就任の禁じたマドゥロ政権の決定」を支持する判決を下し、大統領選への出馬は事実上阻止されてしまいました。
マチャド氏は野党候補者のエドムンド・ゴンザレス氏の支持に回りましたが、マドゥロ大統領が51%の票を獲得して大統領に再任されました。上述の通り、2024年大統領選挙は不正選挙であるとする意見が多数ありますが、政権は勝利を宣言して権利の掌握をさらに強めています。
ノーベル賞選考委員会はマチャド氏の「ベネズエラ国民の民主的権利を促進するためのたゆまぬ努力」と「独裁政権から民主主義への公正かつ平和的な移行を目指す闘い」を評価し、ノーベル平和賞を授与しました。選考委員会はは「国際社会において、民主主義は後退傾向にあります。民主主義とは、自由に意見を表明し、投票し、選挙で選ばれた政府に代表される権利です。民主主義は国家内および国家間の平和の基盤なのです」と述べ、民主主義が軽視されつつある現状に警鐘を鳴らしています。
This year’s Nobel Peace Prize laureate Maria Corina Machado has led the struggle for democracy in the face of ever-expanding authoritarianism in Venezuela. Ms Machado studied engineering and finance, and had a short career in business. In 1992 she established the Atenea… pic.twitter.com/OtFF6NPuGl
— The Nobel Prize (@NobelPrize) October 10, 2025
マチャド氏は身の安全のために隠れ住んでおり、ノーベル平和賞授賞式に参列できるかは不透明です。ノーベル平和賞の受賞決定自体はマチャド氏に伝えられており、以下の動画で受賞決定連絡時の肉声を聞くことができます。
First reactions | Maria Corina Machado, Nobel Peace Prize 2025 | Telephone interview – YouTube

また、マチャド氏は自身のFacebookアカウントに感謝のコメントを投稿しています。
なお、現実世界の出来事の結果を予想して金銭を掛けるウェブサービス「Polymarket」では2025年のノーベル平和賞受賞者を予想する賭けが実施され、受賞発表直前までは2024年に死去したロシアの民主主義活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏の妻であるユリア・ナヴァルナヤ氏が予想率1位でした。
受賞発表前にマチャド氏の受賞を予想していたユーザーは少なかったのですが、dirtycupというユーザーはマチャド氏の受賞に6万8373.81ドル(約1042万円)を賭けて9万9008.51ドル(約1509万円)を勝ち取っています。このdirtycupと名乗るユーザーはこれまでPolymarketの賭けに参加したことがなく、「ノーベル平和賞の受賞者発表当日に初めて賭けに参加し、マチャド氏だけに大金を賭け、約500万円を稼いだ」という特筆するべき成果を挙げたことから「ノーベル賞選考委員会の関係者なのか、はたまたマチャド氏の熱心な支持者なのか」という疑いの目を向けられています。
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