ウェブブラウザ「Google Chrome」の最新安定版であるバージョン141がリリースされました。ウェブアプリが複雑化していく一方で、アクセシビリティの向上が求められていることに対応するため、新たにARIA Notify APIが導入されました。このAPIは、従来のARIAライブリージョンを補完するもので、より信頼性と利便性の高いアクセシビリティを提供します。
Chrome 141 | Release notes | Chrome for Developers
https://developer.chrome.com/release-notes/141?hl=ja
◆ARIA Notify API
身体的な機能に制限がある人や高齢者など、様々な人がウェブコンテンツを利用するためには、ウェブアクセシビリティの向上が不可欠です。特に、動的に更新されるウェブアプリケーションにおいては、画面リーダーなどの「支援技術」に対して最新の情報を正確に伝えることが重要となります。このような問題に対処する技術がWAI-ARIAであり、その中でもARIAライブリージョンは、動的に更新されるコンテンツを支援技術に通知するための主要な手段として広く利用されています。
しかし、ARIAライブリージョンにはいくつかの課題が知られています。中でも、ウェブページの変更がDOM要素に関連付けられていることを前提とする制約があるため、その前提から外れた変更を通知しようとすると、難解かつ非効率的な実装が求められます。これに対応するため、新たにARIA Notify APIが導入されます。
ariaNotify()メソッドは任意のタイミングで支援技術に通知を送ることができるため、より柔軟で効率的な実装が可能となります。これにより、開発者は動的なコンテンツ更新をより簡単に支援技術に伝えることができ、ユーザー体験の向上が期待されます。
document.querySelector("button").addEventListener("click", () => {
document.querySelector("button").ariaNotify("You ain't seen me, right?");
});
◆width・heightをネストされた
SVGマークアップとCSSの両方で、ネストされた
ネストされた
一方、CSSプロパティを適用しない場合は、以下のようなHTMLとなります。
◆getDisplayMedia()のwindowAudioオプション
getDisplayMedia()メソッドに新たにwindowAudioオプションが追加され、画面キャプチャ時に特定のウィンドウからの音声を含めるかどうかを制御できるようになりました。これにより、ユーザーは画面共有中に特定のアプリケーションの音声のみを共有することが可能となり、プライバシーと利便性が向上します。
windowAudioオプションにはウェブアプリの設定に応じて、以下の値を指定できます。
・exclude:音声のキャプチャを完全に除外する
・system:システムの音声をキャプチャする
・window:ウィンドウに紐づく音声をキャプチャする
例を挙げると、ウェブアプリで特定のアプリケーションの画面をキャプチャする際に、そのアプリケーションの音声だけを共有したい場合は、windowAudioには「window」を設定します。反対に、そのアプリケーション内の音声を共有したくない場合は「exclude」を設定します。
◆FedCM: アカウント選択の代替フィールド
アカウントセレクタでアカウントを区別するための識別子として、「ユーザーのフルネームとメールアドレス」以外に、「電話番号とユーザー名」もサポートするようになりました。これにより、ユーザーの識別にメールアドレスやフルネームを使用しない一部のIDプロバイダーについても、FedCMを利用したID連携が可能となります。
◆その他の更新
・hidden=until-found要素とdetails要素の表示アルゴリズム改善
・Digital Credentials API:不正使用されるリスクを軽減するメカニズムの追加
・navigateEvent.intercept():precommitHandlerオプション追加による遅延コミット対応
・getDisplayMedia():strictOwnAudioプロパティ追加による音声キャプチャの制御
・MediaTrackConstraints:echoCancellationModeに指定可能な値を追加
・IndexedDB:getAllRecords()メソッド追加、およびgetAll()・getAllKeys()に方向パラメータを追加
・投機ルール:パソコン版における「eager」の投機的読み込みの積極性を、「moderate」と「immediate」の中間に調整
・Storage Access API:同一オリジンポリシーへの準拠の厳密化
・署名ベースの完全性:Ed25519鍵ペアによる署名や公開鍵による署名の検証要求により、サイトの信頼性を保証
・WebRTC:Encoded Transform(V2)への対応
◆オリジントライアル
・ローカルネットワークアクセスの制限
・Proofreader API
・CSP script-src(script-src-v2)の拡張
・WebAssemblyカスタム記述子
また、Google Chrome 141には2件のセキュリティバグフィックスが含まれています。
なお、次期安定版の「Google Chrome 142」は現地時間の2025年10月28日(火)にリリース予定です。
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