欧州連合(EU)のサイバーセキュリティ機関である欧州ネットワーク・情報セキュリティ機関(ENISA)が、2025年9月第3週の週末から始まったヨーロッパ各地の空港での遅延・欠航の多発は、ランサムウェア攻撃が原因であると発表しました。
EU agency confirms ransomware attack behind airport disruptions | Reuters
https://www.reuters.com/business/aerospace-defense/eu-agency-says-third-party-ransomware-behind-airport-disruptions-2025-09-22/
EU cyber agency confirms ransomware attack causing airport disruptions | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/09/22/eu-cyber-agency-confirms-ransomware-attack-causing-airport-disruptions/
2025年9月第3週の週末、イギリスのロンドン・ヒースロー空港やドイツのベルリン空港、ベルギーのブリュッセル国際空港などで、便の遅延や欠航が多発しました。この理由は航空会社が採用しているチェックインシステムを提供するCollins Aerospaceが、何らかのサイバー攻撃に遭ったためであることが明らかになっています。ただし、サイバー攻撃の詳細は不明なままでした。
テクノロジーメディアのTechCrunchがENISAに問い合わせたところ、「ENISAは第三者によるランサムウェア攻撃によって空港業務が継続的に混乱していることを認識しています。現時点では、ENISAはサイバー攻撃に関する詳細情報を共有することはできません」という回答が得られたそうです。
ランサムウェア攻撃の標的となったのはベルリン空港、ブリュッセル国際空港、ロンドン・ヒースロー空港などの複数の空港にチェックインシステムを提供するCollins Aerospaceです。なお、ENISAはランサムウェア攻撃の影響を受けた空港と協力し、サービスの復旧に取り組んでいると述べています。
なお、Collins Aerospaceは既にサイバー攻撃の被害にあったことを明かしており、攻撃の標的となったのは同社が提供する電子顧客チェックインや手荷物預かりなどで利用される旅客処理システムのMUSEであることも明らかにしています。
TechCrunchはCollins Aerospaceにコメントを要請していますが、記事作成時点で返答は得られていません。そのため、今回のサイバー攻撃の背後にどういった団体・個人がいるのかは記事作成時点では不明です。
イギリスのサイバーセキュリティ企業であるSophosの脅威情報担当ディレクターであるレイフ・ピリング氏は、注目を集めるため著名人を狙ったランサムウェア攻撃が増えているものの、今回のような公共交通機関や企業などをターゲットとしたサイバー攻撃の頻度は増えていないとのこと。
ピリング氏は「欧州では破壊的な攻撃がより目立つようになっていますが、目につくことと実際の頻度は必ずしも同じではありません」「現実世界にまで波及するような、真に大規模で破壊的なサイバー攻撃は、依然として例外です」とロイターに語りました。
ドイツのデジタルメディア関連の業界団体であるBitkomが約1000社を対象に行った独自の調査によると、ランサムウェア攻撃がサイバー攻撃の最も一般的な形態となっており、7社に1社が過去にランサムウェア攻撃を受け身代金を支払ったことがあることも判明しています。
なお、Collins Aerospaceは2025年9月22日にサイバー攻撃から復旧するための作業が最終段階に入っていると発表しました。ドイツのベルリンでは9月21日にベルリンマラソンが開催されたため、9月22日のベルリン空港は通常よりも利用客が多かったそうですが、同日はランサムウェア攻撃の影響でチェックインシステムがまだ復旧しておらず、出発が1時間以上遅れた便もあったとロイターは報じています。
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