Blueskyがミシシッピ州からのアクセスをブロック、年齢確認を義務付ける新法に従うリソースがないため – GIGAZINE


ソーシャルメディアのBlueskyが、ミシシッピ州からのアクセスをブロックしたことを発表しました。これはミシシッピ州で検討されている年齢確認法が原因であり、Blueskyは「年齢確認用のシステムを開発するリソースがない」と説明しています。

Our Response to Mississippi’s Age Assurance Law – Bluesky
https://bsky.social/about/blog/08-22-2025-mississippi-hb1126

Bluesky blocks service in Mississippi over age assurance law | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/08/24/bluesky-blocks-service-in-mississippi-over-age-assurance-law/

2025年8月23日、Blueskyが公式アカウントを更新し、「残念ながら、ミシシッピ州ですべてのユーザーに年齢確認を義務付ける新しい州法が生まれたことで、現在、同州ではBlueskyを利用することができません。この法律は児童の安全を目的としたものですが、より広範な課題を提起し、言論の自由を制限し、私たちのような小規模プラットフォームに悪影響を及ぼす重大な障壁を生み出すと考えています」と投稿してミシシッピ州でBlueskyが使えなくなったことを報告しました。

Unfortunately, Bluesky is unavailable in Mississippi right now, due to a new state law that requires age verification for all users.

While intended for child safety, we think this law poses broader challenges & creates significant barriers that limit free speech & harm smaller platforms like ours.

— Bluesky (@bsky.app) 2025年8月23日 4:54

問題となっているのは、アメリカのミシシッピ州で検討されている「HB1126法案」です。これはBlueskyのようなサービスにアクセスする前に、全てのユーザーに対して年齢確認を実施することを義務付けるという法案です。この法案が実現すれば、あらゆるサービスがユーザーに対して年齢確認を実施しなければいけなくなり、18歳未満のユーザーは何かしらのサービスにアクセスする際、保護者の同意を得る必要があります。違反した場合の罰金は高額で、ユーザー1人当たり最大1万ドル(約150万円)となるそうです。

Blueskyは「必要な認証システムや、保護者の認証を得るためのワークフロー、コンプライアンス基盤の構築には多大なリソースが必要となり、特にこの法律の適用範囲の広さとプライバシーへの影響を考えると、グローバルコミュニティのための安全ツールと機能の開発に投資している我々のような小規模なチームでは、現状リソースを割くことができません」と述べ、リソース不足により年齢確認のためのシステムを構築する余裕がないと主張しています。

加えて、BlueskyはHB1126法案には以下の懸念があると指摘。

・広範囲にわたる適用範囲:この法律では、年齢制限のあるコンテンツにアクセスするユーザーだけでなく、すべてのユーザーに対して年齢確認を義務付けており、ミシシッピ州のすべてのユーザーがBlueskyを使用できるかどうかに影響します。
・イノベーションへの障壁:コンプライアンス要件は、Blueskyのような新しく小規模なプラットフォームにとって不利です。必要なツールを開発するための大規模なチームを擁する余裕がないからです。この法律は、人々が自由に表現することを困難にし、新しい方法でコミュニケーションをとる機会を阻害しています。
・プライバシーへの影響:法律では、未成年者の詳細な追跡を含め、すべてのユーザーから機密性の高い個人情報を収集して保存することが義務付けられています。


イギリスのオンライン安全法(OSA)も一部サービスに年齢確認を求めるものですが、BlueskyはOSAに準拠しているとのこと。イギリスではBlueskyに引き続き誰でもアクセス可能で、年齢確認は特定のコンテンツや機能へのアクセスにのみ必要で、Blueskyはイギリスのユーザーが18歳未満かを把握しておらず、追跡もしていません。一方、ミシシッピ州の法律では、機密情報を提供しない限り、10代から成人まで、すべてのユーザーがBlueskyにアクセスできなくなります。なお、ミシシッピ州の年齢確認法では「未成年」と「成人」を追跡することが目的であるのに対して、OSAでは「不明(未成年扱い)」と「成人」を追跡することが目的となっているため、年齢確認の方法に違いが生じているという指摘があります。

ミシシッピ州からのアクセスをBlueskyがブロックしたことを受け、同州の地元メディアであるMississippi Free Pressは「Blueskyがミシシッピ州のIPアドレスをブロック。ミシシッピ州の年齢確認法、言論の自由、プライバシーへの懸念を理由に」と報道。Mississippi Free Pressは2025年初めにX(旧Twitter)を離れたそうで、それ以来Blueskyは最もフォロワー数が多いメインのソーシャルメディアプラットフォームになっているとのこと。そのため、Mississippi Free Pressは「非営利の出版物として、私たちは特定の法案や法律について立場を表明することはありません。しかし、ミシシッピ州議会の意図がどうであれ、私たちは現在、Blueskyで私たちをフォローしてくださっている多くの読者の皆様との繋がりをいかに維持していくかという課題に直面しています」「Blueskyへの投稿継続にどのような影響が出るかはまだ分かりません。率直に言って、Blueskyでフォローしてくださっている読者の皆様が、今後どのようにフォローを続けられるかの方が心配です。技術に精通した読者の皆様はIPブロックを回避する方法を見つけられるかもしれませんが、そうでない方も多いでしょう。できるだけ多くの皆様に記事をお届けし続けることが、私たちの責務です」と記しています。

Ed Note | State Law Compels Bluesky to Block Mississippi IPs
https://www.mississippifreepress.org/editors-note-bluesky-blocks-mississippi-ips-citing-states-age-verification-law-free-speech-and-privacy-concerns/


なお、Blueskyがミシシッピ州の年齢確認法を受け同州からのアクセスをブロックした件について、ソーシャルメディア掲示板のHacker News上ではさまざまな意見が噴出しています。

Bluesky Goes Dark in Mississippi over Age Verification Law | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=44990886

あるユーザーは「Blueskyの決断に強く同意します。司法管轄区や政治家は技術的な根拠を理解していない法律を制定しています。二次的影響は考慮されていません」とコメントし、Blueskyの決断を尊重しました。別のユーザーも、「Blueskyの対応はこのような煩わしい法律に対する唯一の正しい対応です。行き過ぎた規制の影響を受けるすべてのサイトには、同様の対応を取る道徳的義務があると思います」と賛同しています。

また、別のユーザーは「ワイオミング州とサウスダコタ州ではさらにひどい状況で、未成年者に危害を及ぼす可能性のあるものを掲載したサイトで年齢確認を義務付ける法律が可決されています。何と恥ずべき時代でしょうか。この愚かな者たちは国家の正当性を否定し、司法制度の正当性を否定するものです」と述べ、別の州でも同様あるいはより劣悪な年齢確認法が準備されていると指摘

他にも、こういった法律が成立することでよりVPNサービスが儲かるようになるだろうと指摘するユーザーもいました。

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