Netflixが映像クリエイター向けに生成AIの使用に関するルールを公開 – GIGAZINE


映像ストリーミングサービスのNetflixは、自社プラットフォームで配信されるオリジナルコンテンツの制作者に対し、生成AIをする上で守って欲しいいくつかの指針を公開しました。Netflixは映像制作側が生成AIを使用することを歓迎していますが、デリケートな分野であるため守ってほしい指針があるとしています。

Netflix wants its partners to follow these rules when using gen AI | The Verge
https://www.theverge.com/netflix/764433/netflix-gen-ai-production-guidelines

Netflixは2024年に公開されたジェニー・ポップルウェル監督による犯罪ドキュメンタリー「What Jennifer Did」において、実際の写真の代わりにAIで生成した画像を使用したことで、批判を集めています。問題の写真が以下で、被写体の女性の手がぐちゃぐちゃになっており、AIで生成した画像であることがわかるはず。犯罪ドキュメンタリーにおいて人物の描写に使用される写真がAIにより生成されたものであったため、「娯楽のために架空の物語をでっちあげるべく画像が生成された」などとしてNetflixは批判を集めました。


生成AIの使用について批判を集めたNetflixは、同様の問題を回避するためにパートナーヘルプセンターに生成AIの使用に関する指針を記したページを追加しました。

Using Generative AI in Content Production – Netflix | Partner Help Center
https://partnerhelp.netflixstudios.com/hc/en-us/articles/43393929218323-Using-Generative-AI-in-Content-Production


このページの中で、Netflixは生成AIについて「ユーザーが新しい独創的なメディア(動画、音声、テキスト、画像)を迅速に作成することを容易にする」「貴重なクリエイティブツール」と評しています。しかし、生成AIは猛烈なスピードで進化しているため、Netflixはパートナーがこれらのツールを使用する際に尊重すべきルールを明確にする必要があると記しました。

Netflixは「グローバルな制作をサポートし、ベストプラクティスに準拠するために、すべての制作パートナーには、生成AIの使用目的をNetflix担当者と共有していただくようお願いしています。特に、さまざまな機能とリスクを伴う新しいツールが次々と登場しているため、その重要性は増しています」「以下のガイドラインに従う低リスクのユースケースのほとんどは、法的審査を必要としません。ただし、最終的な成果物、タレントの肖像、個人データ、またはサードパーティーの知的財産が含まれる場合は、作業を進める前に書面による承認が必要になります」と述べ、生成AIを使って生成したコンテンツに関する説明を制作者に求める方針であると明記しています。

Netflixは生成AIのベストプラクティスについて「生成ワークフローを採​​用する際に責任ある行動をとるために不可欠」と考える5つの具体例を提示しています。

・出力は、所有されていないまたは著作権で保護された素材の識別可能な特徴を複製または実質的に再現するものではなく、著作権で保護された作品を侵害するものでもありません。
・使用される生成ツールは、生成データの入力または出力を保存、再利用、またはトレーニングしません。
・可能な場合は、入力を保護するために、企業で保護された環境で生成ツールが使用されます。
・生成された素材は一時的なものであり、最終的な成果物の一部ではありません。
・生成AIは、同意なしに新しいタレントのパフォーマンスや組合の対象となる作業を置き換えたり、生成したりするために使用されることはありません。


Netflixはパートナー企業がこれらのガイドラインを遵守していることに自信がある場合は、生成AIを使用する意思を指定された企業担当者に伝えるだけで問題ないと記しています。ただし、パートナー企業がガイドラインを遵守していない、または遵守していないことが分かっている場合は、書面による承認が必要になる可能性があるため、手続きを進める前にNetflix担当者にエスカレーションして詳細なガイダンスを受ける必要があるとのことです。

Netflixはパートナー企業がさまざまな形で生成AIを活用することに非常に前向きである一方で、事前に経営陣や法務チームに計画を報告しないことで生じる可能性のある法的リスクを念頭に置いてほしいと繰り返し強調しています。また、Netflixは「視聴者は画面上で見聞きしたものを信頼できるべき」と考えていることも強調。加えて、生成AIが「フィクションと現実の境界を曖昧にしたり、視聴者を意図せず誤解させたりする可能性」を考慮し、パートナー企業には慎重な対応を求めています。

パートナーヘルプセンターの投稿では制作費について触れられていませんが、Netflixの共同CEOでありテッド・サランドス氏は以前に「AIはクリエイターが映画やシリーズをコスト削減するためだけでなく、より良く制作する上で素晴らしい機会になると確信しています」と発言しています。サランドス氏はアルゼンチン発のSFシリーズ「エテルナウタ」を 、AIを活用して予算内で番組を制作する好例として挙げているため、「Netflixは他のクリエイティブチームにも同様のワークフローを採​​用するよう強く求めている」とThe Vergeは指摘しています。

Netflixが人気オリジナル作品でコスト削減のために生成AIを使ったことを明かす – GIGAZINE

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