Intelは2025年内に18A(1.8nm)プロセスでの半導体量産を開始する計画を進めており、2025年3月には18Aプロセスの初期生産に成功しています。しかし、Intelの製造プロセス事情に詳しい関係者がロイターに語った内容により、18Aプロセスで製造されたチップは顧客に提供できるほど良好な品質にほとんど達しておらず、実用的なチップの製造に苦戦していることが判明しています。
Exclusive: Intel struggles with key manufacturing process for next PC chip, sources say | Reuters
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/intel-struggles-with-key-manufacturing-process-next-pc-chip-sources-say-2025-08-05/
Report: Intel struggles with new 18A process as it cuts workers and cancels projects – Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2025/08/report-intel-struggles-to-ramp-up-production-on-new-18a-manufacturing-process/
Intelの18Aプロセスは単なるプロセスの微細化だけでなく、最先端技術の「RibbonFET」と「PowerVia」という2つの最先端技術が採り入れられているため、先進的チップの分野で巻き返しを図っているIntelにとって特に重要な世代です。しかし、18Aの開発は2024年8月には「順調に進んでいる」と発表された一方で、2021年に発表されたロードマップでは「2024年中に完了させる」という計画だったものの、18Aの初期生産は2025年3月まで遅れていました。
Intelが18A(1.8nm)プロセスの半導体の初期生産を開始 – GIGAZINE
さらに、18Aで実用的なチップの製造にIntelが苦戦していることが関係者の発言から判明しました。製造業において、「(投入された原料から)期待される生産量に対して、実際に得られた製品生産数の比率」のことを「歩留まり(ぶどまり)」と言います。半導体製造においては、1枚のシリコンウェハーから製造されたチップのうち、正常に動作する良品チップの割合が歩留まりであるため、歩留まりが高くならないと生産能力や収益率に問題が生じます。
2024年末ごろからIntelのテストデータについて説明を受けていた2人の関係者がロイターに語った内容によると、Intelは生産拡大前の歩留まりが50%を超えることを目標としており、70%~80%に達するまで利益の大部分を稼ぐことができないそうです。しかし、2025年夏時点で18Aの歩留まりは約10%であり、2024年末の約5%程度からは上昇したものの、依然としてかなり低い位置にあることが明かされました。ただし、全ての性能目標を達成していないチップも含めればIntelはより高い数値を主張できる可能性があり、現時点で正確な歩留まりを算出できていない点には注意が必要です。
Intelは2025年7月30日に発表したコメントで、「18A製造プロセスを採用したPanther Lakeチップは順調に進んでいる」と述べました。しかし、チップの収益性を高めるための歩留まりについては、現在どの値でどれくらいを目標としているなど明言しませんでした。
また、Intelは2025年第2四半期の決算報告で、Panther Lakeチップを2025年後半に発売し、2026年にはさらに多くのモデルを投入することを表明しています。テクノロジー系メディアのArs Technicaは「社内では物事が順調に進んでおり、バグも解決されつつあると主張し、ロードマップに自信を表明し、実際の製品の発売日については多少の余裕を持たせて前進し続ける、Intelのおなじみの広報戦略」と表現しています。
Intelの最高財務責任者であるデビッド・ジンスナー氏は2025年7月24日にロイターの取材に答え、「利回りは一般的に『最初は低く、時間が経つにつれて改善していく』ものです。我々は、毎月歩留まりがどんどん良くなっていき、2025年末にはPanther Lakeの生産レベルに適した収穫量レベルに達すると期待しています。この歩留まりレベルでも利益率が上がるとは言えないので、まだ改善が必要です」と語りましたが、現時点での歩留まりについては言及せず、Intelもデータの提供を拒否しています。
この記事のタイトルとURLをコピーする
ソース元はコチラ
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。