AIが就職面接をしている企業を求職者は避けるようになってきている – GIGAZINE


自然な文章を手軽に作成できる生成AIを使用して、就職活動に使う履歴書をAIに任せて楽しようとする人が増加しています。一方で、企業側もAIを使って履歴書の選別や面接のスケジュール決めをしているほか、面接官としてAIを使用する企業もあります。AIによる面接はより多くの応募者に対応するための措置ですが、ビジネス雑誌のFortuneの取材によると、応募者が辞退するケースもあるほどAI面接は拒否感を生じさせている可能性があるとのことです。

AI is doing job interviews now—but candidates say they’d rather risk staying unemployed than talk to another robot | Fortune
http://fortune.com/2025/08/03/ai-interviewers-job-seekers-unemployment-hiring-hr-teams/


就職活動は「AI対AI」の構図になりつつあります。ChatGPTをはじめとするAIチャットボットが登場して以来、求職者向けのAIツールが発達しており、職探しから履歴書の作成、面接の予定決めなど求職にかかわるいくつもの作業をAIで代行できるようになったことで、求職者はより多くの企業に簡単に応募できるようになりました。一方で、企業側は増えすぎた求職者に対応するため、求職者の選別や面接のスケジュール決め、求職者へのフォローアップなどを自動で実行できるAIを使って求職者をさばいている事例も起きています。

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中には、AIで面接を行う企業もあります。人事の専門家は、「AI面接官は採用担当者の一次面接の時間を節約できるため、応募者とより有意義な会話をする時間が増えます」と説明しています。しかし、実際にAI面接を体験した人は、「実際の社員が面接に時間を割いてくれないのであれば、あまり大事に思われていない」と感じる人がいたり、「AIが同じ質問を何度も繰り返す」「会話がぎこちない」「AIが一方的にしゃべりつづけて面接が終わった」というような問題が発生したりといった報告をしています。

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テクノロジー系ライターのアレン・ラウシュ氏は、転職活動中に3回遭遇したAI面接官についてFortuneに語っています。ラウシュ氏によると、AI面接はいずれも25分程度で、PCには女性のアニメーションが表示されて女性の声が流れてきたそうです。AI面接官による質問は、キャリアに関する質問、履歴書や求人の詳細についての説明といった基本的なものであったとのこと。ラウシュ氏は「AI面接の多くは時間の無駄だと思います。これは初期情報を収集するためのもので、『後ほど人間と面接を行います』という保証があるならば、前向きに臨むことができます」と語りました。

一方で、ベテランライターのデブラ・ボーチャート氏はAI面接官との対話に耐えられなかったと話しています。ボーチャート氏によると、AI面接官は面接が始まると履歴書を読み上げた上で、各企業での職歴を全て繰り返すように求めるなど、非人間的で無駄が多いように感じられたとのこと。ボーチャート氏は「30分も座って機械と話すなんて嫌です。人事担当者が私と話す時間すら割いてくれない会社で働きたくありません」と述べ、10分もたたずに面接を辞退してしまった経験を語りました。

AI面接官に拒否感情を覚える求職者がいる一方で、採用担当者にはAI面接官が重宝されています。AI面接官を配信する企業・BraintrustのCEO兼創業者であるアダム・ジャクソン氏は、「もし求職者コミュニティの大部分がAI面接官を全面的に拒否していたら、私たちのクライアントはこのツールを役に立たないと考えていたでしょう。しかし、現状はそうではなく、むしろその逆です」とAI面接官の普及について述べています。ジャクソン氏によると、BraintrustのAI面接官は客観的なスキル評価が得意であるため、100件の面接を行うと上位10件を採用担当者に報告します。その後は人間が引き継いで最終的に判断するため、AIが全てを担当するわけではありません。


また、サンフランシスコに本社を置く暗号資産取引所のCoinbaseは、採用にAIをどのように活用しているかを明かしています。Coinbaseではまず、応募者の増加に対応するため、募集職種に関連する経験とスキルを分類して優先順位を付ける「AI応募審査ツール」を構築しました。また、2025年からは一部の職種でAIによる電話面接のテストを開始しており、Coinbaseはこれを「採用担当者の対応能力に制限されることがなくなり、より多くの応募者に応募書類を詳細に説明する機会を提供できるようになります」と説明しています。そのほか、面接のスケジュールや面接中のメモなどをAIが担当しています。

Coinbaseによると、2025年6月までに350人以上がAIによる電話面接を体験し、85%が「明確で、会話的で、簡単」と前向きな評価をしているとのこと。Coinbaseはテストの結果を受けてAI面接官を継続的に改良し、2025年末までに全ての職種の面接に適用することを目標としています。

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