キリバス共和国の首都がある南タラワ島から約3300km離れた場所に位置するクリスマス島は、「世界で一番早く日が昇る島」として知られています。1999年から2000年に変わる際には「世界で一番最初に2000年代になる場所」として注目を集めました。今回はフィジーからの週1便のフライトを利用。キリバスに朝に到着し、夕方に出発する便に乗らなければ次の便は1週間後という短時間での滞在ながら、キリバスの魅力を探ってきました。キリバスに割り当てられている ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は「.ki」です。
ドメイン島巡り – 世界のドメイン1,000種類以上を取り扱うインターリンクが、「.cc」「.tv」「.sx」等、南太平洋やカリブ海などの「島のドメイン」約50種類に焦点をあて、実際にその島々に行き、島の魅力をレポートします。
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◆キリバスはどこにあるのか?
キリバスは、ハワイとオーストラリアのほぼ中間、赤道と日付変更線が交差するあたりに位置し、33の島で構成されています。クリスマス島はキリスィマスィ島とも呼ばれ、面積は388km²で世界で一番大きい珊瑚礁の島です。ちなみにクリスマス島は「カニの大移動が見られる島」としても名前が知られていますが、それオーストラリア領のクリスマス島で、キリバスのクリスマス島とは別です。使用されている通貨は、オーストラリアドル(記事掲載時点で1AUD=約97円)です。
・目次
◆キリバス・カシディ国際空港から「アイランドディスカバリーツアー」に出発
◆年間最大3000トンまで生産可能な塩田
◆地方行政・公共サービスの拠点、ロンドン村
◆電気の通っていない集落
◆手錠も売っている地元と旅行者に愛されるスーパー
◆フレンドリーでやさしい島の人たち
◆街で見かけた「.ki」ドメイン
◆現地SIM速度調査~フィジー編~
◆キリバス・カシディ国際空港から「アイランドディスカバリーツアー」に出発
フィジーのナンディ国際空港を現地時間23時30分に出発。約4時間30分のフライトで、フィジーと2時間の時差があるキリバスのカシディ国際空港へ朝6時半ごろ到着しました。
キリバスにはレンタカー会社がないので、あらかじめ「アイランドディスカバリーツアー」を予約しておきました。費用は1名あたり250AUD(約2万4200円)。空港を出ると、普段は小学校の先生をしているというガイドの女性が待っていました。7時10分、出発です。
まずはバナナ村ツアー。島全体が目覚め、地元の人々が朝の日課を行う様子を見に行きます。
車は日本で活躍してキリバスに渡ったマツダのSUV。カーナビを見ると、和歌山県広川町を走行中ということになっていました。こうしたカーナビ表示は「ドメイン島巡りあるある」です。
この青い建物は警察署ですが、人の気配は感じませんでした。
島で唯一の裁判所はこんな感じ。集会所か何かかと思ってしまいました。
道にはカニがたくさんいます。カメラを向けるとすぐに穴に隠れてしまいます。
◆年間最大3000トンまで生産可能な塩田
島にはサンゴ礁が侵食されて、くぼ地に海水が入り込んでできた数百の塩湖があります。キリバス政府が運営する塩採取施設に行ってみましょう。
空港から車で約 10 分の位置にある塩採取施設に着きました。場所はこのあたり。
小屋がポツンと建っているだけで、観光客は誰もいませんでした。
見渡す限りの塩田。絶景です。
海水が泡になり、太陽と風の力だけでゆっくりと結晶化が進み、白い塩の層が大地を覆っていきます。
塩を保管している倉庫の中を見せてくれました。
中にあったのは人の背丈を超える高さの塩の山。思わず「すごい……」と声が漏れます。
クリスマス島の塩は、スナック菓子でおなじみのカルビーが「ポテトチップス クリスマス BOX」に使用したり、スイーツに使用されたりと、名産品として注目される存在です。
塩田の見学を終えた我々は、次に地元の中学校へ向かいました。
場所はここ。
この日は、複数の学校の生徒たちが合同で運動会を行う特別な日で、校舎内はひっそりと静まり返っていました。せっかくなので運動会の会場へ行ってみると、ちょうどリレー競技の真っ最中でした。
キリバスで見かけた学校の合同運動会の様子 – YouTube

◆地方行政・公共サービスの拠点、ロンドン村
ロンドン村は島の地方行政・公共機関の中心地です。政府関係の支所や行政サービス機関は、すべてこの周辺に集中しています。各省庁が集まっている場所に来ました。
気になったのは財務省の窓口。
掲示されていたのは、政府の助成金を受給している人たちの氏名。島には仕事が少ないため、釣りばかりしている人も多いそうです。
庁舎裏のテーブルでくつろいでいた男性達は、政府庁舎専属のシェフでした。
村には刑務所もあります。
中には何人か、人の姿が見えていました。
刑務所に誰が収容されているのか島民全員が把握しているため、刑務所は施錠の必要がなく、扉は常に開いているそうです。
続いて、ロンドン病院まで移動。
病院のそばでは救急車を発見しました。赤とオレンジのラインが目立ちます。
病院のX線検査棟は、地元住民の医療インフラ向上の一環として、日本のODA(政府開発援助)によって建設されたものでした。
◆電気の通っていない集落
手拍子と太鼓の音が聞こえて来たので、車を停めて中を覗いてみると、子どもたちが行進の練習をしていたので、少し見学させてもらいました。
キリバスの独立記念日に向けて行進の練習をする子どもたち – YouTube

7月にある独立記念日の式典で行う団体移動の練習で、学校対抗で競い合い、順位もあるのだそうです。
そういえばソロモン諸島訪問時、独立記念日の式典に出席したことがあります。
ツアーに昼食が含まれているため、ビレッジズホテルに移動します。
食事の前に手を洗うべく洗面所に行くと、石けんはありませんでしたが、ママレモンが置かれていました。
本日の昼食は、お米とロブスターとお肉。ロブスターは島の近くで獲れる貴重な食糧源だそうです。
食事を終えた我々は、ホテルのあるタブワケア村の中心から約2km離れた小さな集落に移動しました。
場所はこのあたり。
木から砂糖を採っています。
許可を得て家の中も見せていただきました。実はこのエリアは電気が通っていません。ロンドン村やバナナ村でも、村から離れた集落では電気が通っていないのです。
ここは台所として使っているそうです。
◆手錠も売っている地元と旅行者に愛されるスーパー
続いて我々が向かったのは、島内の電力アクセスを改善するために始まった国際協力プログラム、KIESP(Kiritimati Island Energy Sector Programme)の施設です。
「From the People of New Zealand」「European Union」など、支援国のロゴが並んでいます。
クリスマス島は壮大な自然に囲まれた美しい島ですが、インフラ整備の面では多くの課題を抱えています。そんな島の未来を支えるプロジェクトがKIESPです。
JMBストアは地元住民や旅行者に愛されているお店。
クリスマス島で一番頼れる店内には、野菜や果物、缶詰などの日用品から、スナック菓子や冷たい飲み物まで、なんでも揃っています。
チューブのわさびもありました。
ひときわ目を引いたのは手錠。在庫もバッチリですが、そんなに買う人がいるのでしょうか。
手書きで売上を管理していました。
近くには大きなパラボラアンテナが見える施設がありました。
ガイドさんは「60代のアメリカ人スタッフが1人、30年勤めていて、若い奥さんがいますが、何を研究しているかはわかりません」と説明してくれました。
位置情報をもとに地図で確認したところ、JAXAが打ち上げるH-IIA/BロケットやH3ロケットをリアルタイムに追尾し、通信制御をサポートする「ロケット追尾局」でした。
貨物や人の上陸に利用される、キリバス港湾局の桟橋にも行きました。
ツアーでは「写真撮影スポット」との説明でした。確かに、天気がいいと写真映えします。
ロンドン村中心部のメインロード脇に立っていた記念碑。
これはキリバス政府とオーストラリア政府のパートナーシップを記念する碑で、道路整備、水道インフラ、エネルギー改善、行政支援など両国の開発協力プロジェクトの成果を記念し、その友好関係を示すものでした。場所はここ。
◆フレンドリーでやさしい島の人たち
ロンドン村とバナナ村の間にはミニバスが走っていて、このようなバス停が設置されています。運賃は1.2AUD(約116円)。
バスの運行本数は少ないため、地元の人たちはトラックやバイクに乗り合って移動することが大半です。
郵便局で切手を買うことにしました。
3名ほど待っていたのですが、我々が切手を購入したいことを知ると、順番を譲ってくれました。ありがとう!
切手を購入することができました。
順番を譲ってくれた人たちと、近くにいた子どもに、親切にしてもらったお返しとして日本のお菓子をプレゼントすると、とても喜んでくれました。
バイクの人たちは、我々に向かって笑顔で手を振ってくれることが何度もありました。そういうときは笑顔で「Mauri(マウリ)!」(キリバス語で「こんにちは」)と言って手を振り返しましょう。
◆街で見かけた「.ki」ドメイン
キリバスに割り当てられている ccTLD は「.ki」です。「口と鼻を覆って自分と周りを守ろう」という啓発メッセージが書かれた、COVID-19感染予防ポスター。
キリバスの水産物衛生管理(シーフード処理・輸出)に関するガイドラインをまとめたポスター。ドメインを見つけられたのは、各省庁が集まっているエリアだけでした。
◆現地SIM速度調査~フィジー編~
クリスマス島でeSIM は使えません。港湾局やジュニアセカンダリースクールへ続くメインロードにあるセメントブロック造りの地元商店で、SIMカードを取り扱っていました。
場所はここ。
キリバスの通信事業者「OceanLink」が発行したSIMカードを購入できました。ロンドン村周辺では通信は安定していますが「検索やテキストチャットなどの軽量通信に使える」ぐらいのレベルでした。
海外に行く予定のある方はインターリンクがnoteでまとめている「最強の海外用eSIMはコレだ!海外用Wi-Fiはやめておくべきこれだけの理由」を参考にしてください。
【随時更新】最強の海外用eSIMはコレだ!海外用Wi-Fiはやめておくべきこれだけの理由 |株式会社インターリンク
https://note.interlink.blog/n/nbc08ddc8169e?gs=95655e6318d0
ドメイン「com.ki」の詳細や申し込みは、以下のリンク先で確認できます。
com.kiドメイン登録 (キリバス) | 世界のドメイン取得、コンサルティングならGonbei Domain(ゴンベエドメイン)
https://www.gonbei.jp/reg/domain_detail.cgi?p1=com.ki
(文・写真:インターリンク https://www.interlink.or.jp/
ドメイン島巡り https://islanddomains.earth/)
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