■アンサイクロペディアの浸食
「アンサイクロペディアの鉄槌」と呼ばれた事件から早5年。
このサイトもひっそりと好事家たちによって支えられるかと思いきや、またも重大な事態に直面していた。
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2025年初頭、まだUCPではAI記事をぽつぽつ見かける程度であった。AIに記事を採点してもらうツールで自己顕示欲を満たしたり、そんな程度のふわりとした雰囲気で触れていたのだが、AIの進化は早いもので夏頃にはもう人間と見分けるのが難しいほどの精度にまで発展していた。
そんな中、ひとりのユーザーによって「実際これどうするよ?」という議論が起こり、「面白ければOK」という結論のもと、生成AI活用のためのPortalページが開設された。ちなみに議論の提起者およびPortalの開設者は、先の事件に「鉄槌」という名前を与えたその人である痴愚神信者氏、現・ノイマン氏だ。
いろいろと賛否は分かれるところだが、AIで書いたにせよ人力にせよ面白くなければ消せばいいだけの話なので、執筆中に詰まった時のアイデア出しだとか要改善テンプレートを貼られた時の対処法だとか、この時点では「みんなで有意義にAIを使っていこうね!」といった感じで前向きにAI活用を考えていたのではないかと思う。
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受け入れた人もいれば、受け入れられなかった人もいる。
「AI技術をどんどん導入していくのは勝手だけど、UCPみたいな場末のサイトでそこまでやる必要があるの?」と思った人達は、UCPで活動することをやめ、他のウィキプロジェクトへと移っていった。その代表的な例が「知木ペディア」である。
元々AIが台頭する前からUCPユーザーのごく一部で運用していたwikiなのだが、「今のUCP、なんかちげーよな」と個人的に思ったユーザーたちがフェードアウトして自然と居着くようになった。AI記事も自己言及だとかユーモアのためにぽつぽつ作られる程度で、棲み分けとしてはうまいこと行ってたのではないかと思う。
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AIがUCPで市民権を徐々に得ていくたびに、ノイマン氏の言動もだんだんと棘が見えていった。
当初は純粋に「AIがどれだけ通用するのか見てみたい」という技術者としての意欲が見えていたのだが、次第にマウントを取るようになったり、トークページで何度も何度も反論を繰り返し相手が納得するまで説き伏せることをやめなかったり、自分とは異なる意見を徹底的に嫌うような性分に変化していった。
そんな中、ある会話のなかで「ノイマンさんは知木ペを敵視してるの?」という質問が飛んできたのをきっかけに彼は突拍子もない行動を起こしてしまった。
あろうことか知木ペで、30分間そこらで十数件もの記事を濫造してしまったのだ。
知木ペは百科事典としての記事もユーモア記事も載せていい自由なウィキプロジェクトであったが、前代未聞の事態に管理者もこれを問題視し「AI記事を原則禁止にしませんか?」と議論を提起。ここでもノイマン氏は自らの持論を曲げずすべての規制意見に対して反論、規制派の神経を逆撫でして議論の立て直しにまで発展する事態となった。
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ノイマン氏はそれでも満足できなかった。
明らかに知木ペの住民を揶揄している「反AI」という記事を作成したうえで、その記事内の表現を引用してと持論を続けざまに展開した。
反AIとしてどれだけ「理論武装」しようと、ユーモア至上主義のUCPでは、究極的にはAIに勝てる/AIにはない面白さのある記事を書けない方の問題
書けないならここで反AIなんてことはせず、妄想でなければ消されることのない「やさしいウィキ」や、AI生成記事を大幅に制限する方向の「保護区」にでも行けばいい
知木ペに併設されていた掲示板でもボヤキを繰り返したり、もはや指摘通り知木ペを敵視しているとしか言いようがないレベルにまで達していた。
その後も彼は、AIを使っているとはいえ執念ともいえる知木ペへの陰湿な皮肉を込めた記事を何度も何度も執筆。最早知木ペの住人は執筆意欲の殆どを削がれることになり、疲れ果てた管理者の嘆きが残されているのみである。
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今やアンサイクロペディアは、1か月間に作成された記事の3割がAIである。要改善テンプレートの貼られた記事はAIによって加筆され、評価基準さえAI採点に頼るユーザーまでいる始末だ。そして今日、実に4度目となるUCPでのAI規制議論が提起されることとなった。
現状がこのサイトにとって良いものなのか悪いものなのかは読者の判断に任せるが、ユーザーの暴走によって「本国」どころか「保護区」まで荒廃させられるというのは、ある意味鉄槌以上の災厄かもしれない。