X(旧Twitter)のコミュニティノート機能は、誤解を招く可能性があるポストにユーザーが背景情報を追加することで、誤った情報や偏った意見が拡散されないようにするものです。オンラインの偽情報などの広がりを解析する非営利の研究・政策機関であるアメリカデジタル民主主義研究所(DDIA)が公開した研究によると、Xに提出されたコミュニティノートのうち90%はユーザーまで届いていないことが明らかになりました。
A Deep Dive into X’s Community Notes: An Analysis of English and Spanish Contributions Between 2021 and 2025
https://ddia.org/en/a-deep-dive-into-xs-community-notes-report
コミュニティノートのようなユーザー主導のフィードバックツールは、虚偽や誤解を招くコンテンツに対処するための方法として注目されている一方で、ユーザーに過度の責任を負わせたり、情報が拡散されていくスピードに対応するには遅すぎてバランスが取れなかったりと、批判する意見もあります。そこでDDIAは、コミュニティノートが実際にどのように機能してどのような改善点が必要なのかを深く理解するために、Xが公開した2021年1月~2025年3月のコミュニティノートに関するデータセットを分析しました。このデータセットには、55の言語で書かれた176万件以上のノートが含まれています。
まずコミュニティノートの傾向について、最も多く使用されている言語は英語で全ノートの63.8%、次点がスペイン語で9.3%を占めています。この2つの言語のノートは、2024年に前年と比べて倍増し、ノートを作成する貢献者の参加度も拡大していました。一方で、ユーザー数のわりにノートが少ない「言語格差」が生まれている国もあり、「英語圏で主に被害に対処するだけでは、問題のあるコンテンツの大規模な拡散を抑制することはほとんどできません」とDDIAは指摘しています。
データセットの期間中に英語で提出されたノートは112万件、スペイン語のノートは16万5000件ありました。しかし、分析によるとそのうち公開されたノートは英語が8万2800件(7.1%)、スペイン語は7800件(4.7%)と、公開されたノートは全投稿の10%にも満たないことが判明しています。
以下は、英語とスペイン語の提出されたノートの何%が公開されたかという「公開率」を月ごとに示したグラフ。英語はノートの数が増えている一方で公開プロセスの速度は上がっていないため、公開率は減少傾向にあります。
コミュニティノートが提出されてから公開されるまでの時間は、2022年には平均100日以上だったのに対し、2025年には平均14日に短縮されており、大きく改善されています。ただし、14日の遅れもオンラインで誤情報が拡散されることに対処する手段としてはまだ遅すぎること、既存のノートが評価されるよりも速いペースで新しいノートが書かれているため多くのノートが未処理になって宙に浮いていることをDDIAは問題点として挙げました。実際に、2025年初頭までに評価を受けてすらいないノートが英語では7万7108件、スペイン語では5万8859件あったことが判明しています。
DDIAは今回の分析結果を通じて、「コミュニティノートは、もはやXの実験的なシステムとして捉えられるべきではなく、好むと好まざるとにかかわらず、このモデルは世界的なプロトタイプとなっています。コミュニティノートがどのように機能するか、つまり、このプログラムが誰を対象とし、どこに欠陥があり、何を改善できるかを理解することは非常に重要です」と分析内容を理解する重要性とさらなる調査の必要性を主張しました。
この記事のタイトルとURLをコピーする
・関連記事
AIがXのコミュニティノートを書き始める – GIGAZINE
Xのコミュニティノート投稿数がわずか数カ月で半減したことが明らかに – GIGAZINE
Xのポストにどのような意見が集まっているのか識別できるようにコミュニティノートでラベルをつける新プログラムを試験的に導入中 – GIGAZINE
ソース元はコチラ
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。



