ChatGPTユーザー全員に影響を与える「大規模監視プログラム」作成の意図はないと裁判官が否定 – GIGAZINE


メモ


ChatGPTのログを削除された会話を含めてすべて保存するよう裁判所がOpenAIに命令した一件をめぐって、「ChatGPTユーザーに害を及ぼすような『大規模監視プログラム』を作ろうとしているのではないか」との批判に対し、命令を出した裁判官が「当該命令はそのように解釈できるものではない」と否定しました。

Judge denies creating “mass surveillance program” harming all ChatGPT users – Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2025/06/judge-rejects-claim-that-forcing-openai-to-keep-chatgpt-logs-is-mass-surveillance/

問題のきっかけはニューヨーク・タイムズがOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で訴えたことです。

大手日刊紙のニューヨーク・タイムズがOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で提訴 – GIGAZINE


訴訟をめぐっては、ChatGPTのチャットログが削除されることで証拠隠滅につながる危険性があることがわかり、治安裁判所のオナ・T・ワン判事はOpenAIに対して、ユーザーが削除処理を行った会話を含むすべてのChatGPTのログを保存するよう命令を出しました。

OpenAIは、この命令を「ユーザーのプライバシーを危険にさらすもの」と主張して批判。ChatGPTのユーザーからも「著作権に関する懸念がプライバシーに優先されるのか」非難する意見が出ていました。

OpenAIが削除された会話を含むすべてのChatGPTログを保存するよう命じた裁判所命令を非難 – GIGAZINE


裁判所の命令取り消しを求めてChatGPTユーザーが異議を申し立てましたが、ワン判事は却下しました。申し立てを行ったユーザーの1人、エイダン・ハント氏はChatGPTを時々利用していて、ポリシーには入力情報は保持しないと書かれていたため、機密性の高い個人情報や商業情報を送信していることがあると説明。機密性の高い情報をOpenAIが保存することになるのは、「全国的な大規模監視プログラム」の作成を可能にするもので、ChatGPTの全ユーザーに影響・損害を与える可能性があるものだと主張しました。

ハント氏の主張について、電子フロンティア財団のコリーヌ・マクシェリー氏は「根拠のない懸念ではありません。今回ワン判事が出した裁判所命令は、国内で行われる他の訴訟の先例として、ユーザーのプライバシーに真のリスクをもたらすことになります」と危険性を説いています。

一方、こうした主張についてワン判事は、当該命令は訴訟という限られた目的のために私企業が保有する特定のデータの保存・隔離・保持を指示する内容で、どこが「全国的な監視プログラム」につながるのか、あるいはその可能性があるのかがわからないと反論。命令が大規模監視を可能にするものだと解釈することはできず、また、そもそも裁判所は警察などの法執行機関ではないと説明しました。

マクシェリー氏は、すでに法執行機関などが検索履歴やSNS投稿を対象として記録を取得する動きを行っているように、今後、あらゆる目的でユーザーに関するチャット履歴や投稿を取得するためにOpenAIを利用とするのは時間の問題だと指摘しています。

なお、ワン判事は申し立てを却下した理由について、「訴訟の過程でOpenAIが日常的に削除している特定のチャット出力ログデータを一時的に保存することが、ChatGPTを使用するユーザーのプライバシー権を侵害する可能性があるかどうかについては、著作権侵害をめぐる訴訟の中心的問題に直接関係しない付随的問題である」とみなしたためだと説明しました。

ChatGPTのユーザーからは、ハント氏が主張したように、入力したデータをOpenAIが保存できる状態にあるとは知らなかったという声も上がっており、マクシェリー氏は「すべてのAIチャットアプリは、ユーザーが記録の削除を行った時に、本当に削除できているかを確認できるようにするだけでなく、入力した情報について提供を求められた時に入力したユーザーにただちに通知を送るような措置を講じるべきです」と語りました。

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