中国の研究者らが、人間の脳とコンピューターを接続するためのインターフェース「侵襲性脳コンピューターインターフェース(BCI)」の臨床試験を成功させたと発表しました。脳に直接インプラントを埋め込むこの技術を実現させたのはアメリカに次いで中国が2カ国目です。
China Focus: Chinese research team launches clinical trial for invasive brain-computer interface-Xinhua
https://english.news.cn/20250614/0d20cb07ce5f44ec9b1c7e1e9f5cb495/c.html
China’s first invasive brain-computer interface clinical trial launched, achieving positive results – Global Times
https://www.globaltimes.cn/page/202506/1336164.shtml
環球時報によると、中国科学院上海の脳科学・知能技術卓越センター(CEBSIT)と復旦大学華山病院が共同で、四肢を事故で失った患者に中国初となるBCIの埋め込みを行い、成功裏に試験を終えたとのこと。
CEBSITの声明によれば、術後2~3週間にわたりトレーニングを行った結果、患者は頭で考えるだけでレーシングゲームやチェスなどのゲームを巧みに操作できるようになったそうです。
BCIを人間に対して埋め込む臨床試験は既にアメリカで行われています。実施したのはNeuralinkやParadromicsといった企業で、Neuralinkの患者は頭で考えるだけでマリオカートをプレイすることができるようになったと伝えられています。
Neuralinkの脳インプラント手術を受けた四肢マヒ患者が「マリオカートなどのゲームを考えるだけでプレイ可能になった」という術後100日レポート – GIGAZINE
中国の試験で使用されたデバイスは、直径26mm、厚さ6mm未満の世界最小のもので、Neuralinkのデバイスより100倍以上も柔軟性があるとのこと。
臨床試験に参加した患者は、2012年に高電圧電気事故で四肢すべてを失っていました。臨床試験後、患者は「今では自分の思考でコンピューターを操作できます。まるで自分の意志で動けるようです」と語ったとのことです。
埋め込み手術自体は2025年3月に実施されており、それ以来3カ月にわたって安定した動作を続けていて、感染症や機器の故障などは報告されていません。
CEBSITによると、今回使用したようなBCIシステムは2028年までに中国規制当局の承認を得て市場に投入される予定だとのこと。中国国家衛生保険局は既に「神経系医療サービス」に関連するガイドラインを定めており、侵襲性BCIの埋め込み料金と除去料金といった細かい価格を指定して着々と準備を進めているといいます。
研究チームは今後、患者にロボットアームを装着させ、物をつかんだり持ったりといった動作を行えるようにする予定だとのことです。
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