アメリカは中国に対して数々の貿易制限を行っていて、「AI拡散規制」によりNVIDIAなどのAIチップの輸出が規制されています。この輸出規制に対抗するため、中国のAI企業は「トレーニング用データをHDDに詰め込み、中国からマレーシアのデータセンターに運んでAIモデルを構築している」と指摘されています。
China’s AI Companies Dodge U.S. Chip Curbs by Flying Suitcases of Hard Drives Abroad – WSJ
https://www.wsj.com/tech/china-ai-chip-curb-suitcases-7c47dab1
Chinese AI outfits smuggling suitcases full of hard drives to evade U.S. chip restrictions — training AI models in Malaysia using rented servers | Tom’s Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/artificial-intelligence/chinese-ai-outfits-smuggling-suitcases-full-of-hard-drives-to-evade-u-s-chip-restrictions-training-ai-models-in-malaysia-using-rented-servers
アメリカが中国に対して厳しい輸出制限を行っているため、中国のAI企業はトレーニングに必要な高度なハードウェアを手に入れることが難しくなっていて、さまざまな手法でハードウェアの入手を試みています。AI企業・Anthropicによる「ニセモノの妊婦や生きたロブスターに荷物を紛れ込ませて密輸している」という指摘は、NVIDIAは否定したものの、事実だったことがわかっています。
「中国がGPUやCPUを偽妊婦に運ばせたり生きたロブスターに紛れ込ませたりして密輸している」というAI企業の主張にNVIDIAが作り話だと猛反発、しかしどちらも事実 – GIGAZINE
アメリカから中国に直接運ぶのは難しいことから、アメリカによる輸出規制の対象になっていないマレーシアが中継拠点になっていることが指摘されています。
台湾からマレーシアへのAIチップ輸出が4倍に激増中、中国への横流し疑惑が浮上 – GIGAZINE
しかし、今回明らかになった手法は「マレーシアに運んだAIチップを中国に持ち込む」のではなく、マレーシアでNVIDIAのAIサーバーを借りてAIを構築するというものです。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、中国のAI企業は、マレーシアのクアラルンプールで税関や入国管理官に見つからないよう、AIモデルのトレーニング用データを1つ約80TBのHDD15基に分けて4人の技術者に運ばせ、クアラルンプールにあるデータセンターでAIを構築したそうです。データ量の合計は約4.8PBあり、複数の大規模LLMのデータ源に相当するものだとのこと。
わざわざHDDで輸送したことについて、情報筋は「注目されることなくデータを転送するには時間がかかりすぎます」と説明しています。
なお、IT系ニュースサイトのTom’ Hardwareは、制裁の効果が出ているため中国のAI企業がこのような手段に出なければいけなくなっていると指摘しています。
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