冷凍庫を開けると、何かをこぼしたわけでも食材が腐っているわけでもないのに、独特の変な匂いを感じることがあります。そんな冷凍庫の匂いの正体について、YouTubeチャンネルのMinuteFoodが解説しています。
What is “freezer smell”? – YouTube

MinuteFoodによると、冷凍庫で独特の変な匂いがする主要な原因には「昇華(sublimation)」が挙げられるそうです。固体から液体になるのが融解、液体から気体になるのが蒸発ですが、昇華とは固体から一気に気体になる現象です。昇華の身近な例としては、ドライアイスや芳香剤があります。
水は室温だと基本的に液体の状態にあり、氷を室温下に置いた場合も融解して液体の水になり、その後気体の水蒸気になります。しかし、冷凍庫では水は常に氷の状態にあり融解することなく、絶えず少しずつ昇華しています。
水が氷の状態から昇華し続けている例として、MinuteFoodは以下のような実験を提案しています。氷を一定量作って重さを測り、冷凍庫に入れっぱなしにして放置します。もし氷が融解→蒸発のプロセスでしか気体にならないのであれば、氷が解けることのない冷凍庫では重量をキープしているはずです。しかし、MinuteFoodが実際に実験したところ、最初に作った氷はわずか1週間で7g、全体の約3%も重さが減ったそうです。
冷凍庫の中の食材でも同様のことが発生しており、食材内部にある水分が低温により固体となり、その固体の水が空気と接触している場所では、昇華が始まります。昇華や乾燥によって食材が変質してしまう現象は「冷凍焼け(Freezer burn)」と呼ばれます。冷凍焼けした食品に霜のような氷が付着していることがありますが、これは昇華によって気体となった水分子が再び凝結して氷になり、食材の表面につくことにより発生します。
昇華によりかつて水分子があった場所は穴が空いたような状態になります。これにより、酸素がより食材と接しやすくなることが冷凍庫の変な匂いの原因となります。酸素は非常に反応性が高い分子で化学反応を引き起こしやすく、酸化によって臭気成分が生成される場合があるというわけ。
冷凍庫に入れた食材は腐敗しにくいものの、冷凍焼けや酸化によって腐るほどではないにしても一定の悪臭を放つようになります。それらがプラスチック包装や冷凍庫本体を構成する素材から発生する香気成分と混ざり合って、冷凍庫特有の匂いを生み出しています。冷凍庫の匂いは昇華と酸化が絶えず進行するため、時間と共に悪化します。そして、そうした匂いは他の食品にも付着する可能性があり、冷凍庫にしばらく入っていた氷から変な匂いがしたり変な味がしたりすることがあるのはこれが原因です。
冷凍庫の匂いを強くしない方法としては、まず食材を密封して貯蔵することが重要です。空気に触れなければ水分子は冷凍庫内に放出されず、食材が酸素と化学反応することも抑えられます。カップのアイスクリームの多くで、フタだけではなくフィルムが使用されていることが多い理由の1つは、密封して昇華と酸化を抑えるためです。また、冷凍シーフードなどでは食品を薄い氷の層で覆うことで、食品を直接空気に触れさせない「グレーズ」が用いられていることがあります。
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