Googleがデータセンターによる水不足問題を解消するための取り組みについて公開 – GIGAZINE


メモ


AIの急速な普及に伴ってデータセンターの消費電力や水使用量が急増しており、AIシステムの年間水消費量は世界中で1年間に消費されているボトル入り飲料水と同等の量という分析結果もあるほど、コンピューターを冷却するための水の消費量はAI開発に伴う懸念の1つとなっています。そんな中でGoogleは、データセンターで使用する水よりも多くの水を地域社会に供給するなど、水の使用に関する複数の取り組みについて明らかにしました。

Google announces water stewardship commitments and initiatives
https://blog.google/company-news/outreach-and-initiatives/sustainability/new-water-stewardship-commitments/


AI has a water problem — Google thinks it has a fix | The Verge
https://www.theverge.com/policy/942296/google-water-commitments-data-centers

Googleは2026年6月2日に公開した持続可能性に関するブログで、「水はデータセンターの開発と運用において不可欠な要素です。データセンターはデジタル世界を支えるサーバーやチップから熱を発生するため、冷却のためのエネルギー消費を削減するために水を利用することがよくあります。多くの場所で、水冷は空冷に比べてデータセンターのエネルギー消費を約10%削減できます。データセンター全体の水消費量は少なく、2024年のエネルギー使用量レポート(PDFファイル)によると、アメリカのデータセンターが使用する水は、アメリカ人が年間で芝生に散水する水の1%未満です。しかし、当社はデータセンター運営のあらゆる面において、地域の水資源の保護に注力しています」とデータセンターにおける水の重要性と水資源の保護について語りました。

その上でGoogleは、データセンターの建設・運営地域における水資源の「責任のある管理」として、5つの取り組みを発表しています。

1:施設内で消費する水量よりも多くの水を供給する
Googleは2026年6月時点で97の流域で165件の水資源管理プロジェクトを実施しており、2025年には平均的な7万世帯の年間水使用量に相当する300億リットル以上の水を還元したとのこと。2030年までに年間860億リットル以上の水を供給することが見込まれており、これはGoogleのデータセンターにおける年間消費量の2倍以上となっています。また、水資源管理プロジェクトは水量だけではなく水質など流域全体の健康問題の改善にも役立っているそうです。今回の発表に合わせて、新たに「ジョージア州」「アイオワ州」「ミシガン州」「ミネソタ州」「ミズーリ州」「ネブラスカ州」「テキサス州」の7つに州における水資源管理のプロジェクトが発表されました。以下の地図でグレーのドットで示されているのが既存のプロジェクト、青色で示されているのが新しいプロジェクトです。


2:近隣住民のために上下水道インフラの近代化を支援
資金不足に陥りがちな水道事業について、Googleが水道事業パートナーと協力し、公共水道インフラの近代化を支援することで、近隣住民が将来にわたって信頼性が高く手頃な価格の水源を利用できるように取り組んでいます。Googleはこれまで、使用する水料金を支払うだけでなく、データセンターの運営・建設地域における上下水道および水再利用インフラの開発、そして水を供給する水道事業パートナーへの支援に5億ドル(約800億円)以上を充ててきました。Googleは「当社は、地域の水道事業がインフラを更新できるよう、今後も支援を続けていきます」と述べています。

3:事前調査でリスクの高い流域を保護
水の熱伝導率は空気の約4000倍で、水冷システムは空冷システムよりエネルギー効率が優れています。しかし、Googleは常に水冷システムを優先するのではなく、データ駆動型のフレームワークを用いて新規データセンター建設地域の流域を評価した上で、地域の水資源が健全で回復力がある場合にのみ水冷を検討しているとアピールしています。水資源への負荷が大きい地域の場合は、空冷または再生水が選択されます。

4:年間水使用量を透明性をもって公開する
Googleは「水の使用量はブラックボックスであってはなりません」と述べており、自社を「年間水使用量を公表した最初の大手クラウドプロバイダー」と位置付けています。今後も投資や建設を行う地域社会の透明性を確保するために、年間水使用量をオープンにする取り組みが継続されます。

5:代替水源や再生水の利用を積極的に推進
水資源を確保するため、水道事業者と連携して再生水の利用を積極的に検討しています。実際の例として、ジョージア州ダグラス郡では、Googleは郡の上下水道局と提携して処理済みの廃水をデータセンターの冷却水として再利用しています。

Googleのインフラストラクチャおよびサステナビリティ担当グローバル責任者であるベン・タウンゼント氏は、The Vergeのインタビューで「私たちはこの分野における数十社のプレーヤーのうちの1社にすぎません。それでも、地域社会が参考にできる指針を示すことが非常に重要だと考えています。そうすれば、もし他の誰かが『そこにデータセンターを建設したい』と言ってきた場合、地域社会は『地域社会と流域を最優先に考えるための5つのポイントがあります。あなたはこれらをいくつ実施していますか。もし実施していないなら、その理由は?』と尋ねることができます」と語りました。

これまでGoogleはデータセンターの建設・運用に伴うエネルギー消費に関するさまざまな取り組みを実施しています。2024年10月にはアメリカの原子力エネルギー企業のKairos Powerから原子力エネルギーを購入する契約を締結したり、2026年5月には核融合スタートアップのCommonwealth Fusion Systems(CFS)との投資および電力購入契約を締結したりと、クリーンで豊富なエネルギーの確保に注力しています。


また、イタリアを拠点とする再生可能エネルギー技術開発企業のEnergy Dome提携して、Energy Domeの「長時間エネルギー貯蔵(LDES)」という技術をGoogleは支援しています。LDESは余剰のクリーンエネルギーを貯蔵して再生可能エネルギーの発電時間と需要時間のギャップを埋める技術で、GoogleはLDESの投資により「24時間365日カーボンフリーエネルギー」という目標達成に近づくことができると語りました。加えて、空気中の二酸化炭素を直接抽出して地下に貯蔵したり製品に再利用したりする「Direct air capture (DAC)」を提供するHoloceneから二酸化炭素除去を購入する契約を結ぶことで、Googleおよび世界が温室効果ガス排出量実質ゼロを達成するのに貢献していく姿勢を示しています。


そのほかの取り組みとして、Googleは「アメリカのイノベーション新時代を推進する」と題した論文の中で、電気インフラを構築できる専門技能への需要の高まりを強調し、新規の専門技師を育成する取り組みを支援することを発表しました。Google.orgからの資金提供を受け、国際電気労働者組合と全米電気工事業協会が設立した「電気工訓練アライアンス(etA)」は、AIツールを組み込んだカリキュラムにより、電気技術者の人材供給を5年間で70%増加させることを目指しています。

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