植物である「タバコ」がニコチンを生成する200年来の謎が解明される – GIGAZINE


ニコチンは報酬系の刺激作用や強力な依存性を有しており、タバコに含まれる化学物質として知られます。植物であるタバコがどのようにしてニコチンを生成するのかは2世紀近くにわたり謎のままでしたが、新たな研究によってタバコがニコチンを生成するプロセスが明らかになりました。

Nicotine biosynthesis is completed by cryptic activating glucosylation | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-026-72705-0

Scientists solve 200-year-old puzzle of how tobacco plants make nicotine – News and events, University of York
https://www.york.ac.uk/news-and-events/news/2026/research/200-year-old-puzzle-tobacco-plants-nicotine/

タバコの中毒性の元となっているニコチンは1万年以上前から人類に使用されており、早くも1820年代後半にはタバコからニコチンが抽出されました。しかし、植物であるタバコがニコチンを作り出す完全なメカニズムについては、これまでわかっていませんでした。

新たに、イギリスのヨーク大学やデンマークのコペンハーゲン大学などの研究チームは学術誌のNature Communicationsに発表した論文で、ニコチンは最初にグルコース(ブドウ糖)分子と結合した状態で形成されることを発見したと報告しました。


グルコースは、ニコチンの構成要素が結合するために必要なエネルギーを与えるために添加されますが、最終段階でグルコースは除去されてしまいます。このグルコースが消える過程により、ニコチン生成のメカニズムが長らくわからないままだったとのこと。

さらに研究チームは、ニコチン分子をより小さな断片から組み立てるのに役立っている、2つの特殊な植物酵素である「NaGR」と「NicGS」の正確な構造も突き止めました。ニコチン分子自体は、植物の代謝の異なる部分で作られる2つの連結した輪で形成されており、1つはビタミン様化合物に由来し、もう1つはタンパク質合成に関連するアミノ酸に由来すると報告されています。

論文の共著者で、ヨーク大学の新規農業製品センターに所属するベンジャミン・リヒマン博士は、「これは実社会への応用が期待できる点で非常に興味深いものです。タバコの近縁種であるNicotiana benthamiana(ベンサミアナタバコ)は、すでに分子農業において命を救う医薬品やワクチンの生産に利用されています」と指摘しています。

タバコは健康に悪いものというイメージがありますが、実はワクチンやその他の医薬品を製造するためのプラットフォームとしてタバコ属の植物は有望です。しかし、タバコはニコチンを生成してしまうことから、最終的にはニコチンを除去するための処理が必要になるという課題がありました。

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リヒマン博士は、「この新たな知見によって、植物が自然に生成するニコチンを除去したり、別の用途に転用したりすることが可能になり、より優れたバイオテクノロジーツールを開発できます。また、将来的にはタバコのニコチン生成システムを応用して有用な医薬品化合物を製造できるという、刺激的な可能性も秘めています」と述べました。

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