ウガンダの難民キャンプにノートPCを送って到着するまでの険しすぎる道のりを記録したレポート、なぜモノを送るのがこんなに難しいのか? – GIGAZINE


メモ


オーストラリア在住のソフトウェア開発者であるレックス・トゥンボウロ氏が、ウガンダの難民キャンプに住む友人へノートパソコンを送った経験をブログで公開しています。近所の郵便局から数週間もあれば相手に届くとトゥンボウロ氏は考えていたものの、実際には予想以上に複雑な手続きがいくつも必要だったとのことです。

Shipping a Laptop to a Refugee Camp in Uganda – NotesByLex.com
https://notesbylex.com/shipping-a-laptop-to-a-refugee-camp-in-uganda

トゥンボウロ氏は仕事をしながらロンドン大学のプログラムで学士号取得を目指しており、同じように勤務時間外に学位取得を目指して勉強している海外の人たちと交流を持っていました。その中の1人であるジャンゴ氏は、コンゴ出身の難民でウガンダ西部の難民キャンプに暮らしていますが、次の学期を数週間後に控えたタイミングでノートパソコンのマザーボードを誤って破損してしまいました。そこでトゥンボウロ氏は、使っていない古いMacBookをジャンゴ氏に送ることを決めたそうです。

トゥンボウロ氏はまずMacBookのホコリを掃除してハードドライブを消去し、macOSを再インストールするなど、ジャンゴ氏に送るMacBookをクリーニングしました。その後、ChatGPTにノートパソコンの送り方を尋ねたところ、「オーストラリアの国営郵便サービスでノートパソコンを送る場合は、リチウム電池が本体に装着されていれば可能」と回答を受け取ったため、郵便局に足を運んで職員の案内を受けながら発送手続きを行いました。配達料金は111.60オーストラリアドル(約1万2700円)。


トゥンボウロ氏が2026年4月1日に荷物の追跡番号をジャンゴ氏に伝え、ジャンゴ氏は4月7日に「追跡番号によるともうすぐ届きそう」と感謝を伝えたそうです。しかし同日、荷物は配送センターで処理できずトゥンボウロ氏の家に送り返されてきました。原因は最初にChatGPTが触れていたようにリチウム電池で、リチウム電池が搭載されている機器は国際航空便で発送できないことがわかりました。

そこで、ノートパソコンを海外に送る方法を改めて検索したところ、トゥンボウロ氏は自宅から数kmの距離にオフィスを構える「Pack&Send」という業者を見つけました。サイトから見積もり依頼をしたところ213オーストラリアドル(約2万4200円)の見積もりを提示され、徒歩で45分かけてオフィスまでMacBookを持っていったところ、きちんとパッケージングした上で送付してくれると案内してもらいました。

しかし、「ホルムズ海峡の航行制限により世界の貨物輸送ルートは大混乱に陥っているため、遅延が起こる可能性があります」と「Pack&Send」は警告していました。また、関税や税金などで50ドル(約8000円)から100ドル(約1万6000円)の予備費用が必要になるとも指摘されました。ジャンゴ氏は金銭的に苦しい状況だったため、トゥンボウロ氏は予備費用のために送金もしたそうです。

その後数日間かけて、トゥンボウロ氏が送ったMacBookはオーストラリアから9か国を経由してオランダに到着しました。そして2026年4月15日にジャンゴ氏は荷物を受け取るための指示が記載されたメールを受け取りました。メールによると、代理店に9万5000ウガンダ・シリング(約4000円)を手数料として支払った上で、ウガンダ歳入庁のポータルで登録し、税務査定を完了し、該当する税金を支払うことで荷物を受け取ることができるとのこと。しかし、ポータルの登録には納税者番号(TIN)が必要ですが難民であるジャンゴ氏はTINを持っておらず、TINを取得するための事務所もジャンゴ氏の住む地区にはありませんでした。ジャンゴ氏はTINなしで手続きを完了できるかメールで問い合わせましたが、返信はありませんでした。


ジャンゴ氏はウガンダ歳入庁のサイトにあるTIN取得の電子手続きに従ってオンラインで申請しようとしましたが、難民や非市民にとってはオンライン手続きは開かれておらず、オンラインで開始できるのは申請の一部だけでその後は事務所に直接出向く必要がありました。オンラインの手続きは古いExcelマクロ形式の申請フォームがスマートフォンでは動作しなかったり、難民を支援している団体に申請書の記入と提出のサポートを頼んだら数千円の費用を要求された上で2週間かかると言われたりと、申請手続きを始めるだけでも大変だったとジャンゴ氏は話しています。

結局ジャンゴ氏は1人で手続きを行うことに決め、3時間かけてウガンダ歳入庁があるムベンデという町に向かいました。事務所では「申請を処理するには難民キャンプまで戻ってキャンプの指導者から許可証を取得する必要がある」と言われ、再度往復するのは厳しいと伝えると「『何か』を渡せばより簡単に解決できる」と提案されるなどトラブルがありつつも、別の担当者が書類を見てくれると同意しました。しかし、書類を開いた後「ネットワークがダウンしているので数日後にまた来るように」と言われました。にもかかわらず、他の人は普通にサービスを受けていたことをジャンゴ氏は目にしていたため、数時間待った後再びお願いしたところ、同じ担当者がファイルを開いて数分で全ての手続きを完了したそうです。

こうしてTINを取得したジャンゴ氏は、ポータルの登録と査定を完了しました。税金は合計で約48オーストラリアドル(約5400円)となり、この時点で送料も含めた累計額は約407オーストラリアドル(約4万6000円)と、MacBookを送らずに購入費用を送金した方が安くなりそうな額に迫っていました。

そしてついに2026年5月6日に荷物がウガンダに到着しましたが、ウガンダでは「中古ノートパソコンは正確な購入価格が記載された領収書原本が添付されていない限り輸入できない」という規制があり、トゥンボウロ氏が同封していた中古品である旨と推定価格が記載された税関申告書では不十分でした。そのため荷物は税関に押収され、修正申請のために約18.50オーストラリアドル(約2100円)の追加支払いが要求されました。ジャンゴ氏は5月8日に支払いをした翌日、ようやく配達準備完了の連絡がトゥンボウロ氏のもとに届きました。

しかし、荷物がジャンゴ氏に届くまではさらに数日を要した上で、追跡情報には「配達失敗」と記録されていました。そこでジャンゴ氏は荷物に関して電話をかけてきた番号をさかのぼって調べ、人づてに配達員を探しました。すると、正規の配送会社が直接配達するのではなく、「バイクタクシーの運転手に荷物と交通費を渡して届けさせる」という手順を知らされたため、信頼できないと考えたジャンゴ氏は改めて荷物が一時保管されている場所を聞き出した結果、配送センターではなく小さな金物店でMacBookが入ったダンボール箱を発見しました。ジャンゴ氏が店主に尋ねたところ、店主は箱の中身を全く知らず「誰かが集荷に来るまで一時的に預かってほしいと友人から頼まれただけ」と答えたそうです。

こうしてジャンゴ氏は無事MacBookを受け取りました。以下はジャンゴ氏が感謝と共にトゥンボウロ氏に送った写真です。なお、ジャンゴ氏が自ら足を運んでMacBookを受け取った後も、電子追跡システムにはいつまでも配達完了の表示は反映されませんでした。


トゥンボウロ氏のブログはソーシャルニュースサイトのHacker Newsで話題になり、仕事で電子機器やノートパソコンを何度も発送してきたというウガンダ人のユーザーは「確かに、ウガンダの配達システムは欠陥だらけで、多くの悪質な人物がこの混乱から利益を得ているため、改善されません」と同意した上で、「トゥンボウロ氏は初めから現地のジャンゴ氏に最善の方法を尋ねていれば、時間とお金を大幅に節約できたはずです。彼らが犯した最初の間違いは、ノートパソコンを海外に送る方法をGoogleで検索したことです」と指摘しました。また、フランス在住でウガンダ人のパートナーを持つというユーザーは「アフリカの国に荷物を送る場合、通常の郵便や高額な宅配業者は使用せず、地元の人がやっているようなグレーマーケットの貨物転送業者を利用してください。彼らは複雑な規則や細々とした慣習、どの規則が適用され、どの規則が適用されないか、誰にいくら支払うべきかなどを熟知しています。アフリカでヨーロッパ流のやり方を押し付けるのではなく、流れに身を任せるのがうまくいきます」とコメントしています。

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