なぜPCのCPUファンで「黒色」バージョンを作るのに時間がかかるのかをNoctuaが説明 – GIGAZINE


CPUクーラーを製造するNoctuaは、顔料にカーボンブラックを使用した黒色のファン製品を展開しています。単なるカラーバリエーションの1つに見えますが、実は黒色のファンを作るのは非常に難しいという裏話をNoctuaが共有しました。

Why does it take so long to release black fan versions? | Noctua
https://www.noctua.at/en/expertise/blog/how-can-it-take-so-long-to-release-black-fan-versions

Noctuaは「chromax」というブランドで黒色のファン製品を展開しています。

Noctua NF-A12x25 PWM chromax.black.swap, プレミアム 静音 ファン, 4-Pin接続 (120mm, ブラック)


他にもシックな茶色のファンが展開されていますが、Noctuaいわく茶色と黒色では製造にかかるコストが段違いだそうです。


ファン製造においては、プラスチックを溶かして鋼鉄製の金型に押し込み、冷却・硬化させて特定の形状にする工程を挟みます。この工程では1度の温度差や材料の1ミリグラム単位まですべてを綿密に計算し、流量、冷却時間、圧力のバランスを完璧に整える必要があるそうですが、着色顔料を塗布することで繊細なバランスが崩れてしまうそうです。

これはガラス繊維強化PBTやナイロンといったプラスチックを使用し、比較的大きな公差を採用しているファン設計では大きな問題になりませんが、Noctuaが製造する独自素材「Sterrox」のような高度なポリマーを使用する場合、極めて大きな影響を与えてしまうとのことです。

ここで問題になるのが黒色顔料です。茶色の顔料は金属酸化物を用いていて、粒子が大きく影響が弱いそうですが、炭素を使う黒色顔料のカーボンブラックは粒子がはるかに小さく、総表面積が著しく大きいため、溶融物との相互作用が強くなってしまうとのこと。その作用により溶融樹脂の粘度、吸熱性、および結晶化の挙動が大きく変化してしまうそうです。


新しい高性能ファン用の金型を初めて製作する際には、形状や冷却などのパラメーターが完全に安定するまで複数回のチューニング工程が必要になります。さらに黒色を作ろうとすると追加の調整が必要になり、時間もコストもかかってしまうということだそうです。

Noctuaは茶色の量産が安定し始めてから黒色用金型の製作を開始しているため、黒色製品は同様の茶色製品の発売から最低でも6カ月は遅延するとのこと。実際にこの話を共有する時点で「NF-A12x25 G2」という製品の黒色版を発売しようとしているところだったそうですが、茶色版の発売から約10カ月遅れての発売でした。

Noctuaは「これが実際にはほぼ可能な限り最速に近いことをご理解いただければ幸いです」と伝えました。

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