近年はSNSでの収益化やフリーランスでの活動が容易になったことから、趣味や特技を生かして収益化する人が増えています。しかし、趣味を仕事にすることにはさまざまな弊害もあると、カナダのウォータールー大学レクリエーション・レジャー研究学科で助教を務めるアリー・ベイリー氏が指摘しています。
How to protect your hobbies in a culture that wants to exploit them
https://theconversation.com/how-to-protect-your-hobbies-in-a-culture-that-wants-to-exploit-them-277817
現代ではインターネットを介して単発の仕事を請け負うギグエコノミーの発展や、YouTubeやInstagramなどのSNSに投稿して収益を得るモデルが確立されたことにより、自分の趣味や特技を仕事にすることが容易になりました。また、生活費の高騰により副業の必要性が高まったり、柔軟な働き方への憧れが強まったりしたことで、多くの人々が「趣味を副業にした方がいいのでは」というプレッシャーにさらされています。
しかし、趣味を仕事にするということは、純粋なリラックスの場だった趣味が「新たな生産性の源泉」に変貌してしまうことを意味するとベイリー氏は指摘。実際にベイリー氏は日々の生活費に苦心していた大学院生時代に、ヨガ・ランニング・ウェイトリフティングといった趣味を仕事にするため、フィットネスインストラクターの資格を取ったことがあるそうです。
ベイリー氏は当時のことについて、「私が気付いていなかったのは、かつて感じていた喜びがあっという間に燃え尽き症候群へと変わってしまうということでした。もはや運動は楽しみではなく、目的を達成するための手段となって私は疲弊していきました。私は複数の会社を掛け持ちし、不安定な仕事に追われ、昼夜を問わず街中を車で走り回っていました」と述べています。
ベイリー氏の経験は、高い生産性を美徳とみなす広範な文化的圧力を反映したものといえます。ソーシャルメディアでは長時間労働や昇進、金銭の追求を称賛するハッスル文化が根強く残っているとのこと。
しかし、仕事や金銭的な報酬とは関係なく継続的に楽しめる趣味は、幸福感において重要な役割を果たします。実際に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックでは、都市封鎖や社会的距離が設けられて行動の自由が制限される中、人々はストレスや不安に対処するために、料理や工作などのさまざまな趣味に没頭しました。
また、趣味は人々の肉体的・精神的な健康を向上させるものでもあります。ランニングや筋トレといった運動は心血管系にメリットをもたらすほか、写真や音楽、編み物といった創造的な趣味は健康や幸福度を高めるのに役立ちます。
もちろん、趣味を仕事にすることで得られる達成感や経済的なメリットはあります。しかし、趣味を仕事にすることで生産性の向上や経済的成長を迫られ、結果的に趣味から得られるメリットを失ってしまうかもしれません。
また、ベイリー氏はそもそも低・中所得層の人々が生きるために仕事を掛け持ちせざるを得ず、趣味を収益化するプレッシャーにさらされている構造に問題があると指摘。こうした問題への抵抗手段としても、趣味や休息は重要なものだと主張しています。
ベイリー氏は、「可能であれば趣味を仕事にしようとする衝動を抑え、収益化は最小限にしましょう。趣味は神聖なものです。それは労働から離れる時間であり、心身の健康にとって不可欠な時間なのです」「どのような形であれ、喜びを搾取しようとする文化の中で自分の喜びを守ることは重要です」と述べ、趣味を仕事にするのは避けた方がいいとアドバイスしました。
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