嵐の最中に葉の先端が光る「コロナ放電」が初めて自然界で観測される – GIGAZINE


科学者は長年にわたり、雷雨の際に樹木の葉の先端でコロナ放電という微弱な放電現象が発生するとの仮説を持っていましたが、自然界で樹木のコロナ放電が確認されたことはありませんでした。新たな研究で、アメリカ・ペンシルベニア州立大学の研究チームが自動車に取り付けた特殊な装置を使い、樹木の葉におけるコロナ放電を自然界で初めて観測したと報告しました。

Corona Discharges Glow on Trees Under Thunderstorms – McFarland – 2026 – Geophysical Research Letters – Wiley Online Library
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2025GL119591

Treetops glowing during storms captured on film for first time | Penn State University
https://www.psu.edu/news/earth-and-mineral-sciences/story/treetops-glowing-during-storms-captured-film-first-time

コロナ放電は嵐の際に発生する放電現象の一種であり、雲が強い負の電荷を蓄積すると地表にある正の電荷が引きつけられ、正の電荷が地表から樹木を伝って最高点まで上昇します。こうして葉の先端にある細い毛のような部分に強い電場が生じ、可視光線と紫外線の両方で微弱な発光現象が発生するといわれています。

これまでの研究により、実験室内では植物のコロナ放電が確認されていましたが、自然界では科学的に観察された事例は報告されていませんでした。以下の写真は実験室内で撮影されたもので、トウヒの葉からコロナ放電が起きていることがわかります。


今回、ペンシルベニア州立大学の気象学および大気科学者であるパトリック・マクファーランド氏らの研究チームは、2013年型のトヨタ・シエナに特殊な伸縮式気象観測装置を取り付け、自然界における樹木のコロナ放電を撮影するフィールドワークを行いました。

研究チームが開発した観測装置は紫外線カメラに望遠鏡を接続したものであり、大気中の電気を測定する装置が搭載され、水銀ランプを利用して紫外線放射の校正を行います。これにより、太陽などの紫外線波長帯は完全に遮断され、コロナ放電の他には雷と火災のみを紫外線源として観測できるとのこと。

研究チームはアメリカ北東部のペンシルベニア州からシエナを走らせて南下し、雷雨が起きやすいことで知られる南東部のフロリダ州で嵐を追いかけました。

しかしなかなか成果が得られず、ペンシルベニア州まで戻ろうと州間高速道路95号線を北上していたところ、途中のノースカロライナ州でちょうどいい嵐に遭遇。急いで車を止めて、観測装置を30m離れたモミジバフウテーダマツなどに向け、雷雨の中で観測を行ったそうです。

2時間近くにわたる雷雨の中で観測を続けた結果、研究チームはモミジバフウの木で859件、テーダマツの木で93件のコロナ放電を確認しました。以下の画像は、観察したモミジバフウの木でコロナ放電が起きた位置をマッピングしたものです。


マクファーランド氏は、「これは発見科学が今もなお行われていることを示しています。科学者たちは半世紀以上にわたりコロナ放電の存在を理論的に推測していましたが、今回の研究でそれが証明されました」「肉眼ではほとんど見えませんが、私たちの観測機器は雷雨が頭上を通過する際、きらめくコロナ放電の帯がきらめく様子を映し出してくれます」と述べました。

なお、樹木のコロナ放電によって水蒸気が分解されると、酸化剤であるヒドロキシルラジカルなどが生成されます。ヒドロキシルラジカルはメタンなどの温室効果ガスと反応するため、植物のコロナ放電が巡り巡って大気を浄化するのに役立っている可能性があるとのことです。

雷が落ちると枝葉の先が青く光る「コロナ放電」が大気質に影響を及ぼしている可能性 – GIGAZINE

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