中国による有人宇宙飛行計画である中国有人宇宙プログラム(CMS)を運営する中国有人宇宙機関(CMSA)が、中国で人気のSNSであるWeibo上で、有人宇宙船の神舟20号に微小なスペースデブリ(宇宙ごみ)が衝突した可能性があると報告しました。これにより神舟20号の帰還ミッションは延期されることとなります。
【#神舟二十号载人飞… – @载人航天小喇叭的微博 – 微博
https://weibo.com/2196038737/Qcp7kEdlS
Space junk may have struck a Chinese crew ship in low-Earth orbit – Ars Technica
https://arstechnica.com/space/2025/11/landing-postponed-for-chinese-astronauts-after-suspected-space-debris-strike/
Three Chinese astronauts stranded on Tiangong space station after debris hits their return capsule | Live Science
https://www.livescience.com/space/space-exploration/three-chinese-astronauts-stranded-in-space-after-debris-hits-their-return-capsule
中国が2025年4月24日に打ち上げた有人宇宙船の神舟20号にスペースデブリが衝突した疑いがあるとして、CMSAは神舟20号の帰還ミッションを延期すると発表しました。CMSAは正確な事故原因を調査中ですが、記事作成時点では神舟20号への損傷の具合や、乗組員が地球に帰還する時期については何も明らかになっていません。
神舟20号には陳冬氏、陳中瑞氏、王傑氏という3人の宇宙飛行士が乗っており、乗組員3人は4月24日から中国が運営する宇宙ステーションの天宮で生活を続けてきました。その後、2025年10月31日に神舟21号が打ち上げられたため、神舟20号で天宮へやってきた3人の宇宙飛行士は天宮でのミッションを引き継ぐこととなり、2025年11月5日に地球に帰還する予定となっていました。
CMSAは天宮に滞在している6人の宇宙飛行士全員の健康と安全を確保するため、衝突分析とリスク評価が行われていると言及していますが、その他の詳細は不明なままです。
スペースデブリが衝突した神舟20号は、4月24日に天宮へ到着してから依然として宇宙ステーションにドッキングした状態にあるとみられています。Ars Technicaによると神舟20号は「電力推進モジュール」「乗組員居住スペース」「パラシュート支援帰還モジュール」という3つの分離可能なセクションで構成されているそうです。
これらのセクションのいずれかが安全ではないと判断された場合、神舟20号は宇宙飛行士を乗せずに放出され、地球に帰還する可能性があります。ロイターの報道によると、CMSAのガイドラインでは神舟20号の乗組員は神舟21号の帰還モジュールで地球に帰還する予定だそうです。
神舟20号の船長である陳冬氏は、現在進行中のミッションにより、中国人宇宙飛行士による通算宇宙滞在日数の最長記録を更新しています。陳冬氏が宇宙に滞在した日数は通算で400日を超えており、この記録は今回の帰還延期によりさらに更新されることとなるわけです。なお、通算宇宙滞在日数の最長記録はロシアの宇宙飛行士であるオレグ・コノネンコ氏が保有する1111日です。
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天宮がスペースデブリの被害にあうのは今回が初めてではありません。2023年には天宮のソーラーパネルの1枚にスペースデブリが衝突し、部分的な停電が発生しました。これを受け、天宮では船外活動時の宇宙飛行士をスペースデブリから守るため、遮蔽物が設置されているそうです。
地球を周回するスペースデブリの量は地球を周回する宇宙船の数の増加に伴い、急速に増加しています。一部の専門家はこの状況が続けばスペースデブリの衝突により連鎖反応で、低軌道が使用不能になる可能性があると懸念しており、これは「ケスラーシンドローム」と呼ばれています。
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