AI企業の中でも特にチャットAIと検索エンジンを融合させることに取り組んでいるPerplexityは、AI検索エンジン「Perplexity AI」やAI搭載ブラウザのCometなどを展開しています。そんなPerplexityが、「Amazonから、CometがAmazonの利用規約に違反していると強硬な法的脅迫を受けた」と報告しています。
Bullying is Not Innovation
https://www.perplexity.ai/ja/hub/blog/bullying-is-not-innovation
Read: Amazon’s Cease and Desist letter to Perplexity
https://www.aboutamazon.com/news/company-news/amazon-perplexity-comet-statement
Amazon sends legal threats to Perplexity over agentic browsing | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/11/04/amazon-sends-legal-threats-to-perplexity-over-agentic-browsing/
CometにはPerplexity独自の検索エンジンが搭載されており、各種情報をAIで要約しつつ検索できるほか、ウェブアプリを用いた作業を自動実行することもできます。ユーザーはCometにテキストや音声で指示して「メールを送信する」「コードを書く」といった作業を実行可能です。
また、Perplexity AIは2025年11月18日に、検索結果からワンクリックで商品を購入できる機能「Buy with Pro」や、写真を使った商品検索機能「Snap to Shop」を発表しました。さらに、Perplexity AIにショッピングについての質問をすると、正確で客観的な回答に加えて、オススメの商品と詳細をカード形式で表示してくれるため、目的の商品へと簡単にアクセスするためのAIアシスタントとして活用することもできます。
AI検索エンジン「Perplexity」に買い物機能「Buy with Pro」が追加される、すべての注文で送料無料 – GIGAZINE
そんな買い物機能について、Perplexityは「いじめはイノベーションではない」と題した公式ブログの中で、Amazonから「強硬な法的脅迫」が送られてきたと報告しました。「CometがAIエージェントであることを明示しないことはAmazonの利用規約に違反している」とAmazonは何度も警告した上で、厳しい言葉で書かれた業務停止命令を送ってきたとPerplexityは述べています。
Perplexityによると、Perplexity AIおよびCometではAIアシスタントを使ってAmazonで購入したい商品を探すことが可能で、ユーザーは膨大なAmazonのラインナップからすぐに目的の商品を見つけられたり、ニーズに最適な商品を購入できるよう選択肢を比較したりできるとのこと。しかし、Amazonは広告やスポンサーを含む検索結果をサイト上に表示しており、AIアシスタントを使った検索ではそれらは表示されません。「Amazonは分かりにくいオファーで購買意欲をそそることに重きを置いているため、AIアシスタントを用いた効率的な購入を好まない」とPerplexityは指摘しています。
Perplexityは「テクノロジーの本質は、人々の生活をより良くすることです。私たちはそれをイノベーションと呼びますが、イノベーションとは物事をより良くする方法を問い続けるプロセスです。一方で、大企業は法的脅迫や威嚇を用いていじめのようにイノベーションを阻止し、人々の生活を悪化させています。Amazonはユーザーの権利を奪って、広告を押し出したり、後々はユーザーを搾取するために設計されたAIエージェントと提携しようとしていたりするのです。いじめの域を越えて、正気の沙汰ではありません」とAmazonを強く非難しています。その上で、「私たちの製品は人々のために設計されているからこそ、人々に愛されています。私たちは、すべてのユーザーが自分の選択したAIを使用する権利を持っていると信じています。Perplexityはユーザーの権利のために闘っています」と意向を語りました。
We believe every user has the right to use the AI of their choice.
Amazon wants to block Comet users from using AI assistants to shop on their platform, and they are now using legal threats to do so. But we will not be intimidated.https://t.co/CQMpZnBtnh
— Perplexity (@perplexity_ai) November 4, 2025
Perplexityのブログを受け、Amazonは2025年11月5日に声明を発表しました。Amazonは、AIアシスタントのように外部サービスがAmazonでの購入をサポートすることを妨げているわけではなく、「他の第三者機関は身元を明らかにしている」と指摘。その上で、「他の事業者の顧客に代わって購入手続きを行うサードパーティー製アプリケーション、例えばフードデリバリーアプリなどは、オープンに運営しサービスプロバイダーの参加可否に関する決定を尊重すべきだと考えています。CometのようなAIブラウザも同様です。Cometが提供するショッピング体験と顧客サービス体験が著しく低下していることを踏まえ、Perplexity社に対し、CometのエクスペリエンスからAmazonを削除するよう繰り返し要請してきました」と明かし、Perplexityが「厳しい言葉で書かれた」と主張した停止命令書(PDFファイル)も公開しました。
Amazonは「サードパーティーサービスを使ったアクセスが問題なのではなく、Cometのアクセス方法に問題がある」と指摘していますが、実際にPerplexityは、ウェブサイト運営者の意向に反する形でステルス性のクローラーを用いて情報を収集していたとCloudflareから非難されたり、著名な辞典の発行元であるブリタニカグループからコンテンツを悪用されたとして提訴されたり、コンテンツをスクレイピングしてデータを違法に盗んだとしてRedditから提訴されていたりと、AIのトレーニング方法に問題があるとしばしば指摘されています。
Googleの検索結果に表示されたコンテンツをAIトレーニングのため違法に盗んだとしてRedditがPerplexityなど4社を提訴 – GIGAZINE
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