2001年に発売されたWindows XPを正規に利用するためにはライセンスキーの入力が必要でした。その中でも「FCKGW-RHQQ2-YXRKT-8TG6W-2B7Q8」という文字列は、リリース初期に海賊版を無料で利用するためのライセンスキーとして出回りました。このライセンスキーは、実はOS解析によるハッキングではなくリークによって出回ったと、タスクマネージャーなどの開発に携わったMicrosoftの元開発者であるデイブ・W・プラマー氏が語っています。
The story of FCKGW-RHQQ2-YXRKT-8TG6W-2B7Q8.
If you’re not the type to pay for your software, you probably know this key. What you might not know is that I worked on the first version of Windows Product Activation, and this was our first major “hack”.
And yet, it wasn’t a… pic.twitter.com/bJoGGO5c9o
— Dave W Plummer (@davepl1968) October 8, 2025
Legendary Microsoft developer reveals the true story behind the most famous product activation key of all time — infamous Windows XP ‘FCKGW’ licensing key was actually ‘a disastrous leak’ | Tom’s Hardware
https://www.tomshardware.com/software/windows/legendary-microsoft-developer-reveals-the-true-story-behind-the-most-famous-product-activation-key-of-all-time-infamous-windows-xp-fckgw-licensing-key-was-actually-a-disastrous-leak
Windowsの著作権保護技術である「Windows Product Activation(WPA)」の開発に携わっていたプラマー氏によると、WPAはCPUやRAMといったPCのハードウェア情報から固有のIDを生成し、ライセンスキーと共にMicrosoftのサーバーに送信して認証を受ける仕組みでした 。キーが不正なものであったり、ハードウェア構成と一致しなかったりすると、そのインストールは海賊版として扱われました。
しかし、問題となった「FCKGW」のキーは、WPAの認証ロジック内で「ホワイトリスト」に登録されていました。プラマー氏によると、本来このキーは企業などの大口顧客向けに特別提供される「ボリュームライセンスキー」だったとのこと。
ボリュームライセンスキーは正規のキーとしてシステムに登録されていたため、Windows XPのインストール時に入力すると、通常は必要なライセンス認証の手続きが省略されます。これにより、30日間の試用期間の制限や警告の透かしなども表示されず、完全に機能する状態でOSが起動しました。
しかし、このキーと対応する企業向けの特殊なインストール用データが、Windows XPが正式に発売される5週間も前に、「devils0wn」というWarezグループによってインターネット上に流出しました。海賊版の作成者たちは、このキーとインストール用データをセットにしてインターネットに流してしまいました。
ただし、Windows XPがリリースされた2001年当時は、現在と比べるとインターネット環境がまだ発展途上でした。高速なブロードバンド回線を利用している家庭は全体の約5分の1に過ぎず、多くの人が低速な回線を使用していました。この環境で455.1MBもあるWindows XPのデータをダウンロードするには、理論上まる一日かかったとされています。そのため、仮に「FCKGW」のキーを入手したとしても、肝心のOSがインターネットから無料で簡単に入手できるわけではありませんでした。
また、2000年にリリースされたWindows Meに不具合が多く不評だったことや、Windows XPの要求するPCスペックが当時としては高かったこともあり、キーの漏洩は瞬時に世界中に広まることはなく、ごく一部のマニアユーザーたちの間のみで広く知られることになりました。
by Mario A. P.
なお、プラマー氏によれば、Microsoftは後にこのキーを無効化しており、WPAによるボリュームライセンスキーの仕組み自体も後のアップデートであるService Pack 2で廃止されたとのことです。
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