Google主任科学者のミシェル・デヴォレ氏と元Googleのジョン・マルティニス氏、そしてジョン・クラーク氏が量子コンピューティングの研究でノーベル物理学賞を受賞 – GIGAZINE


メモ


3人の物理学者が、1980年代に実施した量子力学研究で2025年のノーベル物理学賞を受賞しました。うち2人はGoogleの関係者だったため、Googleが祝福の言葉を寄せています。

Google Quantum AI team member, alum win the Nobel Prize
https://blog.google/inside-google/company-announcements/googler-michel-devoret-awarded-the-nobel-prize-in-physics/


Announcement of the 2025 Nobel Prize in Physics – YouTube


Nobel Prize in Physics goes to early research that led to today’s quantum computers | The Verge
https://www.theverge.com/news/795295/nobel-prize-phyics-quantum-computers

物理学者のジョン・クラーク氏、ミシェル・デヴォレ氏、ジョン・マルティニス氏は、電気抵抗のない回路を作製し、「トンネル効果」と呼ばれる現象、原子や素粒子が本来通過できない障壁物質を通過できる現象を、人間の目でとらえられるマクロスケールでも観測できることを実証しました。

1973年にノーベル物理学賞を受賞したブライアン・ジョゼフソンは、「2枚の超伝導体で薄い絶縁層を挟んだ装置で、超伝導電子対(クーパー対)のトンネル効果によって超伝導電流が流れる」という「ジョセフソン接合」を提唱しました。これはあくまでも理論的な予測でしたが、その後実験的に検証されています。クラーク氏らは、ジョセフソン接合を含む電子回路上で電子によるトンネル効果を観測し、量子のミクロな世界だからこそ起こる不思議な現象が人の目にも観測できるような巨視的な世界でも実現可能であることを実証。実験で用いた回路は超伝導量子干渉計(SQUID)の原型となり、量子コンピューティングの基幹技術の誕生につながりました。

クラーク氏はケンブリッジ大学で博士号を取得した後、カリフォルニア大学バークレー校に博士研究員として赴任し、1969年に教職員に加わりました。1980年代半ばには、デヴォレ氏とマルティニス氏がそれぞれ博士研究員と大学院生としてクラーク氏の研究室に加わりました。

マルティニス氏とデヴォレ氏は後にGoogleで量子コンピューティングの研究を始め、2019年、Google Quantum AIチームで「量子超越性」を持つコンピューターの開発を宣言しました。これは、最速のスーパーコンピューターよりもはるかに高速に問題を解く能力を持つものです。マルティニス氏はGoogleでの役職を退き、イェール大学とカリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授を務めています。デヴォレ氏はGoogle Quantum AIの量子ハードウェア担当チーフサイエンティストであり、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授でもあります。

Googleは「この賞は、現代の超伝導量子ビットベースの量子コンピューティングの基礎を築いた、巨視的量子効果に関する彼らの研究に対して贈られたものです。1980年代に行われた一連の綿密な実験を称えるものであり、その実験は物理学と技術に革命的な影響を与えました。Quantum AI チームは、ミシェルとジョンの先駆的な研究が評価されたことを大変誇りに思います」と述べました。

なお、Googleは過去2年間で合計5人のノーベル賞受賞者を輩出しています。

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