MicrosoftとOpenAIが、提携関係の内容を見直す、拘束力のない覚書(MOU)に署名したと共同声明を発表しました。これまで、複雑な組織構造を持つOpenAIのIPO実現のため、両社は協議を重ねており、落とし所が見つかったものとみられます。共同声明に合わせて、OpenAIのブレット・テイラー会長は、営利目的子会社の「OpenAI Global, LLC」を所有・管理する非営利団体「OpenAI Inc.」が引き続き非営利団体であり続けることも明らかにしています。
A joint statement from Microsoft and OpenAI – The Official Microsoft Blog
https://blogs.microsoft.com/blog/2025/09/11/a-joint-statement-from-microsoft-and-openai/
A joint statement from OpenAI and Microsoft | OpenAI
https://openai.com/index/joint-statement-from-openai-and-microsoft/
OpenAI and Microsoft have signed a non-binding memorandum of understanding (MOU) for the next phase of our partnership.
We are actively working to finalize contractual terms in a definitive agreement. Together, we remain focused on delivering the best AI tools for everyone,…
— OpenAI Newsroom (@OpenAINewsroom) September 11, 2025
OpenAI and Microsoft reach tentative deal to revise partnership
https://www.axios.com/2025/09/11/open-ai-microsoft-agreement-deal
MicrosoftとOpenAIの共同声明は「両社は提携関係の次の段階に向けた、拘束力のない覚書に署名しました。現在、最終的な合意条件を確定させるべく、積極的に協議を進めています。今後も、安全への共通の取り組みに基づいて、すべての人々に最高のAIツールを提供することに全力を挙げます」という内容です。
具体的に提携内容をどうするかについては言及がありませんが、両者間では、OpenAIが今後IPOによる資金調達を行った際に提携関係をどうするか、条件はどうするかについての協議が行われたようで、Microsoftは「最悪、2030年まで結ばれた提携契約があるので、協議は合意に至らなくてもよい」という姿勢だと2025年6月に報じられています。
MicrosoftがOpenAIとの交渉から撤退の準備を開始か – GIGAZINE
しかし、その後もMicrosoftは手を引くことなく協議を重ね、細かい条件を残しつつも、大筋で提携関係を見直すことが決まりました。
OpenAIのブレット・テイラー会長は、共同声明に合わせて、営利目的子会社(PBC)である「OpenAI Global, LLC.」を所有・管理する非営利団体「OpenAI Inc.」が、今後も未来にわたって非営利団体であり続けることを明確にした声明を発表しています。
Statement on OpenAI’s Nonprofit and PBC | OpenAI
https://openai.com/index/statement-on-openai-nonprofit-and-pbc/
OpenAI says nonprofit parent to own stake in company over $100 billion
https://www.cnbc.com/2025/09/11/openai-says-nonprofit-parent-to-own-stake-in-company-over-100-billion.html
テイラー会長によると、提携関係見直しにより、非営利団体OpenAI Inc.は「世界で最も資金の豊富な慈善団体の1つ」になるとのこと。使命を達成するための資金調達も可能になり、PBCが成長すればOpenAI Inc.のリソースも成長して「コミュニティに歴史的なレベルの影響を与えることができるようになる」と述べています。
また、非営利団体がPBCを所有・管理するという構造を続けることは、OpenAIの中核的使命が、引き続き「汎用人工知能(AGI)が全人類に利益をもたらすことを保証する」ということであるという再確認にもなると、テイラー会長は述べました。
次への一歩として、テイラー会長はOpenAI Inc.がAIリテラシーやビジネス機会、コミュニティイノベーションの分野で他の非営利団体やコミュニティ組織を支援することを目的とした5000万ドル(約74億円)の助成金イニシアチブへの申請受付を開始したことを発表しています。
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