イギリスで2023年に成立し段階的に施行されている「オンライン安全法」では、ポルノサイトを始めとした未成年が触れる可能性のある不適切なコンテンツにおいて、顔認識や銀行情報などでユーザーの年齢を確認することが義務付けられています。オンライン安全法に基づく年齢確認により、VPNサービスの利用者が10倍以上増加したほか、「年齢確認のルールを順守したサイトはトラフィックが減少し、無視したサイトはアクセスが急増する」という事態になっていることが報じられています。
Porn sites that ignore age-check laws are getting a flood of traffic – The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2025/08/31/age-verification-uk-porn-sites/
Age verification legislation is tanking traffic to sites that comply, and rewarding those that don’t | PC Gamer
https://www.pcgamer.com/hardware/age-verification-legislation-is-tanking-web-traffic-to-sites-that-comply-and-rewarding-those-that-dont/
オンライン安全法は「ソーシャルメディア企業、検索エンジン、メッセージングアプリ、ゲームアプリ、出会い系アプリ、ポルノサイト、ファイル共有サイトに新たな安全義務を課すもの」と説明されており、実際に2025年7月にはBluesky、Reddit、大手ポルノサイトのPornhubなどが、制限コンテンツを表示する前に具体的な確認を含む年齢認証を導入しました。データ分析サービス・SimilarWebによると、複数の大手ポルノサイトで、オンライン安全法に基づく年齢確認導入によって、イギリスからのトラフィックが大幅に減少したそうです。
大手ポルノサイト・Pornhubがイギリスで年齢確認の義務化によりトラフィックを47%失う、XVideosやxHamsterでも激減 – GIGAZINE
オンライン安全法に基づく年齢確認導入の短期的な効果を評価するため、ワシントン・ポストはSimilarWebがランク付けした90の大手ポルノサイトについて、過去1年間のイギリスからの訪問者数の推定値を収集しました。その後、VPNサービスを使ってイギリスユーザーとしてそれらのサイトに訪問し、「オンライン安全法に基づく年齢確認を導入しているか」を確認しています。
分析の結果、76のサイトが年齢確認を実施しており、年齢確認を正式に導入していないサイトは14あったとのこと。そして、それら14のサイトはすべて、イギリスからの訪問者数が2024年8月から2025年8月で最大3倍近くまで増加していることが判明しました。
ワシントン・ポストがイギリスのインターネット規制当局のOfcomに調査結果を提供したところ、Ofcomは個々のサイトについてコメントを控えた上で、「Ofcomでは数千のポルノサイトにおける毎日の利用者数を監視しており、今回情報提供された『アクセス数が急増したサイト』や『脱法行為を助長するサイト』などは、捜査官がどのサイトを優先するかを決める際に役立ちます」と述べました。
トロント大学シチズン・ラボでデジタルの監視と権利を研究するジョン・スコット=レールトン氏は、「オンライン安全法は、年齢確認のないサイトにユーザーを誘導しながら、規制を順守するプラットフォームへのトラフィックを抑制しています。政府が締め付ければ締め付けるほど、政府の規則を無視するサイトが恩恵を受けることになるという、『意図せざる結果の法則』を教科書的に示しています」と語っています。
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