
AI開発企業のAnthropicと作家グループとの間で、AIモデルのトレーニングデータに関する著作権侵害を巡る集団訴訟が和解に至りました。裁判所に提出された書類で、両当事者が和解案の条件をまとめた基本合意書に2025年8月25日付で署名したことが明らかになりました。
Anthropic Settlement | DocumentCloud
https://www.documentcloud.org/documents/26075972-anthropic-settlement/
Authors celebrate “historic” settlement coming soon in Anthropic class action – Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2025/08/authors-celebrate-historic-settlement-coming-soon-in-anthropic-class-action/
この訴訟は、作家のアンドレア・バーツ氏、チャールズ・グレーバー氏、カーク・ウォレス・ジョンソン氏らがAnthropicに対して、同社がAIモデル「Claude」のトレーニングに海賊版の書籍を含むデータセットを不正に使用し、著作権を侵害したとして提起したものです。
Anthropicが著作権侵害で3人の作家に訴えられる、Claudeのトレーニングに著作権で保護された何十万冊もの本を使用したとの主張 – GIGAZINE
カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所は2025年6月に、「合法的に購入した書籍でAIモデルをトレーニングすることはフェアユースにあたる」との判断を下しました。一方で、AIトレーニングとは別に海賊版サイトのデータそのものが著作権を侵害する違法なコンテンツであることを認め、Anthropicが使用した海賊版データについては別途裁判を行い、損害賠償額を決定するとしました。
「AI企業が合法的に取得した書籍でAIをトレーニングするのに著者の許可は必要ない」という判決が下される – GIGAZINE
損害賠償額が確定すると、Anthropicは1兆ドル(約150兆円)を超える損害賠償額を請求される可能性があったため、裁判の行方次第ではAI業界全体も財政的に破綻することになるといわれていました。
サンタクララ大学法学科のエドワード・リー教授は、Anthropicが法廷で徹底的に争っていた状況から一転して和解に至ったことを「驚くべき展開」と評し、会社が吹き飛んでしまうような巨額の法定損害賠償のリスクを避けるべく和解せざるを得なかったのだろうと分析しています。
和解の具体的な条件はまだ公開されていませんが、原告側の弁護士であるジャスティン・ネルソン氏は、「これは歴史的な和解であり、すべての集団訴訟の参加者に利益をもたらすものだ」と述べています。和解案は2025年9月3日に最終決定される見込みで 、9月5日までに予備承認を求める申し立てが裁判所に提出される予定です。
IT系ニュースサイトのArs Technicaは、AIトレーニングによる著作物の利用が2025年6月の裁判で「フェアユースである」と認められたことから、和解によって判例が形成される機会が失われたものの、フェアユースに関する基本的な司法判断は残ったと分析し、今回の和解によってAI業界全体が無数の裁判に巻き込まれることはないだろうという見解を示しました。
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